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21世紀の子供たちのために

「水の惑星」地球で使える水は?

先日、毎年この時期に出前授業の依頼がある小学校に出向き、
環境学習を行なった。
この小学校は広島市内でも緑豊かな地域に位置し、
学校のすぐ横には川が流れている。
で、この川で底生生物を採取してスケッチし、
名前を調べ、生物による水質等級の判定を行なうのである。

一方、この川の水をはじめ、
子供たちが持ってきた味噌汁の残りや米のとぎ汁などについて
パックテストを行い、
あわせて理化学的に水の汚れを調べ、
水の大切さや水質保全を学ぶのである。
20110801-01広島市立I小学校
子供たちは夢中になって底生生物を採取(広島市立I小学校)

教室内では、水について学習する。
授業はクイズで始まる。
「地球にある水のうち、使える水はどのくらい?」
答え:①1/10 ②1/100 ③1/10,000

あなたはおわかりになるだろうか?・・・
なんと、③1/10,000なのである。

「水の惑星」地球には、こんなに水があるのに。
環境学習では、実物に触れる、量が実感できるといったことが非常に重要である。
で、ビーカーでもペットボトルでもとにかく1リットルの水を用意する。
これを地球全体の水とするのである。
1リットルの水のうち海水は975ccで、真水はたったの25ccである。
この25ccが使えるかというと、まったくだめで、そのうちの17.5ccは南極と北極の氷である。
残りの7.5ccが使えるかというと、まだまだだめで、そのほとんどの17.4ccは地下水である。
結局私たちが使える水は、たったの0.1ccなのである。
これを子供たちの目の前で量を測りながらやる。
1/10,000というと数字だけが頭を横切ってわかった気になるが、
目の前の1リットルのうちの、たった1滴なのである。
それを実感してもらう。

子供たちに次々とクイズを出す。
「水道の水は何から作るの?」
答え:①川の水 ②海の水 ③ミネラルウォーター

このプログラムをどの学校でやっても、
③ミネラルウォーターと答える子が必ず数人いる。
こういうところに環境学習の必要性を強く感じる。


小学生に地球温暖化が理解できるか

小学校で地球温暖化の授業をやって欲しいという要望が多い。
しかしこれが実は大変難しい。
学校には学習指導要領という重要な「マニュアル」があり、
これに沿って授業を行うことが求められる。
学習指導要領では6年生の理科で
「燃焼の仕組み」、「電気の利用」を学ぶことになっている。
物が燃えるとはどういうことか、なぜ電気を使うと地球温暖化になるのか。
燃焼や電気のことがわかっていなくて、どうして理解できるだろうか。
子供は言葉に敏感である。

シーオーツーとかチキュウオンダンカとか、言葉はすぐ覚える。
しかし、これらのことを知らずして、その本質は理解できるはずがないのである。
石炭が燃えていて、
それで熱せられたボイラーの水が蒸気になってタービンを回し、
電磁誘導によって電気が起き、
それが家庭に送電線で運ばれ・・・
ということを実際に見ない限りは。

教職員でなければ、
学習指導要領の学校での位置づけとその内容を知る人は少ない。
地方自治体や民間団体などでそのことに思い至る人は少ない。
子供を対象とした環境学習の広がりとともに、
それに係わる主体も増えてきている。
私たちのような各主体の事情がわかる立場の人間が
そのコーディネーターを担っていかなくてはならない。

20110801-02S県の業務で使用したパワーポイント
小学生にはせいぜいこれくらい(S県の業務で使用したパワーポイント)

以前、地球温暖化防止活動推進員の方々の研修に行ったことがある。
一通り研修が終わった後質疑応答となり、一人の主婦とおぼしき方が手をあげた。
「削減量何tとか言ってるけど、CO2って重さがあるんですか?空気でも重さは感じないけど。」
・・・いやあ、参った参った。


俺たちがやらねば誰がやる

環境学習のテーマは、大きく自然観察や環境測定などの理科系と
地球温暖化や廃棄物などの社会系に分けられる。
理科系は、気の利いた理科の先生ならば対応できるものが多い。
問題は社会系である。
先にご紹介したように、例えば地球温暖化などは
学習指導要領のどこにもないのである。
だからリクエストが多い。
先生方は、何をめあてとし、どのような教材で、
何を教えていいのかわからないのである。

一方、行政は、学校では学習指導要領に基づいて指導をしていること、
年度当初にシラバスで年間の授業計画が決まること、
学校での授業のほか研究授業や各種研修で先生方は大変忙しいこと、
そして何より学校にはお金がないことなど、
学校の事情はあまりよくわかっていない。
また地域で個人的に環境活動を行なっている人は、
環境に係る様々な機材や設備を持っているわけではない。

ここにわれわれ環境コンサルタントの存在意義がある。
私たちは、学校、行政、活動家すべての立場の人と連携できる。
そして、様々な知識と道具がある。問題は、企業としてのあり方である。
企業は言うまでもなく利益の追求がその存在意義である。
CSRといえば聞こえがいいが、延々と続くこの停滞する経済状況の中、
ボランティアには限界がある。

そう、環境学習がビジネスにできればいいのである。
近年は、環境学習の業務も少しではあるがないことはない。
しかし、もっともっと広げたい。
対価としてお金が支払われることは
何か打算的でネガティブなイメージがあるが、そうではない。
お金が係わることで大きな責任が生まれ、
それは技術の研鑽につながっていく。
企業や個人がボランティアでやる部分は気軽にお願いできる部分として
それはそれとしてあって、それとは別に
プロが業務として携わる部分がもっとあっていいのではないだろうか。
いや、あるべきである。

広島市立K中学校HP
われわれは「環境のスペシャリスト」なのだ!
(毎年環境学習の依頼がある広島市立K中学校HPより)


一つのテーマを継続して

数年前、広島県の事業で環境学習の業務を行なった。
小中学校の先生に1週間、環境学習の研修を行なうほか、
県内の数校のモデル校で学習プログラムを作成して半年間授業を行なうのである。
先生方は最初は普段と違う研修に戸惑いを見せながらも、
楽しくやっていただき、環境学習に「目覚めた」先生もいた。

この時痛感したのは、テーマを絞り、単発に終わらず、
連続講座で深めていくことの重要性である。
外部講師による学校での環境学習は、
総合的な学習の時間を使って、年1回行なうのが一般的である。
それはそれでやらないよりはましで、
先生も児童・生徒も新鮮な刺激を受けていいのであるが、
いつもやらないことができて、ああ面白かった、で終わってしまう。
それでは本当は身につかない。
子供には、実体験を交えながら、
一つずつ階段を上がるように教えていかなくてはならない。

この事業では、テーマがあらかじめ廃棄物と資源・エネルギーと設定されていたが、
十数回授業を重ねていくことにより、ごみとは何かから始まって、
フードマイレージやバーチャルウォーターなどの高度なことまで
子供は学習を深めることができた。

このようなことからも、この環境の時代、
私たち環境コンサルタントがプロとして、
業務として、環境学習に係わって行くことが必要である。

20110801-04環の応援団サポーター養成支援事業
先生方への環境学習の研修。筆者中央
(広島県「環の応援団サポーター養成支援事業」より)


泣かせるぜ!

小学校中学年というのは、子供らしい素直さで吸収力の強い年頃である。
以前、ある小学校で省エネの環境学習をした。
無駄な電気を使わないためにはどうしたらいいか子供と一緒に考えた。
授業が終わってしばらくして父兄懇談会があり、
そこでのあるお母さんの話を先生が教えてくれた。

学校での授業があってから、
子供が家で省エネのこまめな取り組みについていろいろ家族に言うようになった。
自分も気づかないこともあったので、自分も頑張らねばと思っていた。
ある時、子供がおばあちゃんに向かって
「石油はなくなるんじゃけえ、省エネせんといけんのんよ。
おばあちゃんみたいに、ストーブつけて、
コタツつけて、電気毛布つけとったらいけん。
電気毛布は切りんさい。」
・・・そこまで聞いて、先生はこりゃまずいなと思ったそうだ
(小生もそう思った)。

そのあと子供はおばあちゃんにこう言ったそうである。
「大丈夫よ、おばあちゃん。寝るときはぼくが一緒に寝て、暖めてあげるけえ。」

20110801-05川の環境学習
時にはこんなこともやります。
お魚さんと蛙さんとで川の環境学習。筆者は右の蛙さん

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