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雪の中に真理を見た。自ずから然り、と(2015.3)

お宅の犬や猫の指の数をご存じか?

突然だが、豚の指の数は何本かご存じだろうか。
漫画なんかに描かれる豚さんの絵を思い出してほしい。
そう、2本である。
では、牛は?
牛も2本である。
偶数の指を持つ動物を偶蹄類という。
偶数があれば奇数があるわけで、奇数の指を持つ動物を奇蹄類という。
馬は奇蹄類である。しかも、指の数は最小の1本!
しかし、奇怪な話である。足の先に指が1本とは。

人間の指は5本。
人間のほかに5本指がいるのだろうか。
これが、結構いて、大きいところでは熊、小さいところではネズミは5本指である。
身近な犬や猫はどうだろう。
犬や猫を飼っている人、ちゃんと答えられるかな?
これがまたおかしな話で、犬や猫は前足と後足で指の数が違うのだ。
前足が5本、後足が4本なのだ。
どうしてこんなになるんだろう?
犬や猫を飼っている人、帰って肉球を触りながら数えてみてほしい。

我々と同じ5本指の仲間にテンがいる。
その5本指のテンの足跡を見るために、
冬の芸北でアニマルトラッキングの自然観察会に参加した。

はじめてのかんじき

古民家がある。
講師の先生に言われて古民家の柱をよく見ると、小さな傷がたくさんついている。
テンが柱を駆け上った痕だそうである。
言われてみれば、柱という柱に結構痕がついている。
テンは夜、民家の柱を駆け上ったり駆け下りたりして侵入路を探しているのだそうだ。

向うの方で子どもたちの歓声が上がる。「とったぞ~、ツララ」
講師の先生の話はそっちのけで、
都会の子どもたちは萱ぶき屋根の軒先にぶら下がったツララ取りに夢中である。
そりゃそうだよね。
街の中にはこんなでっかいツララなんかないもんね。
先生の話を聞くよりツララ取りの方がずっと楽しいもんね。

講師の先生の指導により、各自、かんじきとスノーシューを装着。
どちらも靴の上から「履く」。
スノーシューは、早い話が「西洋かんじき」だ。
かんじきと違って、かかとが固定されていない分歩きやすいそうだが、
小生はかんじきを選んだ。
かんじきは木を丸く曲げ、ロープでいろいろと結束してある。
簡単な作りだが、よくできている。
芸北の八幡地域には、かんじきを作る人がいて、
その人が自分で作ったかんじきを持ってきて、履き方を教えてくれる。
小生はかんじきを履くのは初めてだ。
かんじきを履いて、テンの足跡探しに、いざ、出発だ。

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これが「かんじき」

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こちらがスノーシュー

積雪118cm。
都会育ちの小生は、実際、こんな雪の中を歩くのは初めてだ。
スキー場と違って、周りに人がいないのがいい。
文字どおりの新雪を踏んで進む。
列の最後尾を歩き、時折後ろを振り返る。

静かだ。何もない。自然しかない。

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雪の芸北・八幡高原。「静謐(せいひつ)」という言葉を自然と思い出した。

深い雪に閉ざされた山野には、生き物の息づかいは感じられない。
が、注意して観察するとこんな雪の中でも生き物の営みに出会う
雪の上を歩く黒い虫がいる。ユキクロカワゲラだそうだ。
鳥が鳴く。レンジャクだそうだ。
レンジャクはヤドリギの実を食べ、フンをしてその種を運ぶ。
小枝がナイフで切ったように削がれている。ノウサギの食痕だそうだ。
ノウサギの足跡もある。
木の枝に大きな蛹がぶら下がっている。
成虫が羽化した後のヤママユガの抜け殻だが、ああ、いいね、存在感がある。

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ヤママユガの蛹

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ノウサギのフィールドサイン(足跡)。
ノウサギの足跡は、後足の方が前足より前に出るのだそうだ。


あるがままの子どもたち

講師の先生の生き物についてのお話に聞き入っているのは大人である。
で、子どもたちは何をしているのかといえば、これがもう、大変である。
自然観察会は、ツララの後は雪で大騒ぎである。

最初は歩きながら雪を丸めて団子を作っていたが、
当然のようにそれを雪の中で転がし、大きな雪玉を作っていく。
ここは芸北である。広島ではないのだ。
ちょっと転がせば、あっという間に雪玉は大きくなる。
雪だるまなんかすぐ作れるのだ。
一人の女の子が自分の頭より大きくなった雪玉を抱えて離さない。
お父さんが捨てなさいというのだが、家まで持って帰るという。
捨てるどころか転がしてどんどん大きくしている。
自分で持てなくなって、やっと諦めた。

子どもたちはみんな、広島市などの都会の子どもである。
初めて経験するほんとうの雪遊び。
街中に数センチ積もった雪をかき集めて、
泥の混じった雪だるまを作るのとはわけが違うのである。
雪は、どこにでも、いくらでも、ずうっとあるのである。
そして、何をやっても自由だ。
ここでは遊び方にルールはない。

子どもたちはそれぞれ思いのままに遊び始めた。
まず、どの子も始めたのが、雪の中への倒れ込みである。
立ったままの姿勢で大の字になって、まっすぐ後ろに倒れ込む。
一人が始めたら、みんなやりだした。

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何度も倒れ込んでいたが、今度は倒れ込んだ後、横に転がることを始めた。
遮るものは何もない。いくらでも、どこまでも転がっていける。
立ち上がっては倒れ込み、倒れ込んでは転がっていく。

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一人、横たわったまま動かない子がいる。
よく見ると、布団のように雪を自分の体にかぶせ、横になっている。
起き上がっては、また別の場所で横たわり、周りの雪を寄せ集め、雪布団に入る。
そういえば、海水浴に行って、砂浜でこうやって砂に体を埋めて遊んだっけ。
鹿児島は指宿の砂風呂はまさにこれである。

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今度は猛然と雪を掘り始めた。
積雪は1m以上ある。掘ろうと思えばいくらでも掘れる。
そうだよね。雪を掘って秘密基地を作りたいよね。
で、思ったのである。
アリの巣のように掘って、自由に通路や部屋を作れたら面白いだろうなあ。
軽くて適度な粘り気があって砂に代わるそんな素材があれば面白いだろうなあ。
きりがないからもうやめようとお父さんに散々せかされて、
その子はやっと掘るのをやめてみんなについていった。

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テンの足跡探しの自然観察が、子どもの生態観察に終始してしまった。
しかし、テンの足跡よりも人間の子どもの方がずっと面白かった。
ピュアな子供の発想や行動に接し、目から汚れた鱗がぽろぽろ落ちた。

静謐な自然。
あるがままの子ども。
自ずから然り。

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こんな感じでアニマルトラッキングを始めたのだけど・・・

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