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見た目は見る目で変わる(2024.4)

生物の分類

ちょっと専門的になるが、
生物の分類の階級は大きなものから、界・門・綱・目・科・属・種である。
例えばアフリカゾウならば、
動物界・脊索動物門・哺乳綱・長鼻目・ゾウ科・アフリカゾウ属・アフリカゾウである。

それぞれの階級内でさらにいくつかの階級がある場合には、下位階級名の前に「亜」をつける。
例えば、アフリカゾウならば、脊索動物門・脊椎動物亜門である。
ここまでは知っていたが、哺乳綱の下に亜綱があることは知らなかった。
哺乳綱にはさらに獣亜綱、原獣亜綱、異獣亜綱に分類される。

獣亜綱は、現存する哺乳類のほぼ全ての種がこの分類群だそうだ。
では、原獣亜綱、異獣亜綱はどんな哺乳類なのか。
原獣亜綱は単孔目のみからなる。すなわち、カモノハシだ。
そりゃそうだよね、カモノハシは哺乳類なのに卵を産むんだもの。

じゃあ異獣亜綱はというと、この亜綱の動物はすべてすでに絶滅したそうだ。
しかし人類よ、奢るなかれ。
異獣亜綱は1億年(10,000万年)以上にわたり哺乳類の中では最も長く栄えたらしい。
人類(猿人)が出現したのは、わずか500万年前だ。

混乱するのは、下位階級には「亜」をつけるが、
階級においてさらに上下の階級がある場合には「上」「下」をつけるというルールがあることだ。

哺乳類は哺乳綱だが、
現存する哺乳類のほぼ全ての種が属する獣亜綱は、さらに真獣下綱と後獣下綱に分類される。

真獣下綱は、現存する哺乳類の多くの種がこの分類群だそうだ。
では、後獣下綱はどんな哺乳類なのか。
後獣下綱はカンガルーなどの有袋類だ。

現存する哺乳類の多くの種で構成される真獣下綱は、
さらに異節上目、アフリカ獣上目、真主齧上目、ローラシア獣上目に分類される。
数十年前から始まった遺伝子分析により、また解剖学の発達により、
これらの上目の存在が明らかになったという。
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哺乳類(哺乳綱)の系統分類。亜綱や下綱、上目の名称は聞いたこともないものばかりだ。

地が裂けて仲間が決まった

プレートテクトニクス―すなわち大陸移動説―によれば、
今から2億数千万年前、地球の陸地はただ一つの超大陸「パンゲア」だった。
それがローラシア大陸とゴンドワナ大陸に分裂し、
さらにローラシア大陸はユーラシア大陸と北アメリカ大陸に、
ゴンドワナ大陸は西ゴンドワナ大陸と東ゴンドワナ大陸へと分裂した。
そして西ゴンドワナ大陸はアフリカ大陸と南アメリカ大陸に分裂し、その間に大西洋が成立した。

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大陸の分裂状況。パンゲアの分裂は2億年前頃から始まった。
さらに1億数千年前、西ゴンドワナ大陸はアフリカ大陸と南アメリカ大陸に分裂した


真獣下綱の4つの上目は、この大陸移動と深い関係がある。
異節上目は分裂した南アメリカ大陸を、
アフリカ獣上目は分裂したアフリカ大陸を起源とするものである。
真主齧上目とローラシア獣上目は姉妹群で、ローラシア大陸を起源とするものである。

たとえばアフリカ獣上目は、そのほとんどがアフリカにのみ生息する。
西ゴンドワナ大陸が1億年前にアフリカ大陸と南アメリカ大陸に分裂して以降、
アフリカは他の大陸と繋がっていなかったからだ。

わけてつなげて

先月の本コラムでは、特別展「和食」を国立科学博物館でやっていたことをお伝えしたが、
その後の特別展は「大哺乳類展3」である。
そしてそのキャッチフレーズは、「わけてつなげて大行進」である。
「わけてつなげて」とはどういうことか。
「わける」とは即ち分類である。「つなぐ」とは即ち系統である。
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資料:国立科学博物館ホームページ

では、分類と系統はどう違うのか。
ざっくり言うと、分類は、ある特徴(形態)をもとに生物をグループ分けしたものである。
系統は、生物が進化してきた道筋を示したものである。
しかし、分類には「系統に基づく分類」と「形態に基づく分類」があるというからややこしい。

分類とは、形態をもとに生物をグループ分けすることではないのか・・・今まではそうだった。
しかし、遺伝子分析の登場により、
DNAの塩基配列による系統関係に基づく分類―系統分類―が始まった。
そして、2つの分類には違いも見られるようになった。
「系統分類」とは、ざっくり言うと進化の道筋を考慮した分類である。

ゾウとジュゴン

アフリカゾウに戻ろう。
「大哺乳類展3」のハイライトは、
200種類もの哺乳類の剝製が一堂に会する「哺乳類大行進」だそうだ。
大行進では、動物たちはグループごとに並んで行進しているそうだ。

パンフレットを見ると、ゾウの横にはジュゴンがいる。
ゾウとジュゴンは同じグループ?
海獣のジュゴンは、アザラシやオットセイに近いんじゃないの?と調べてみたら、
ジュゴンはジュゴン目(海牛目)、アザラシとオットセイは何と!ネコ目(食肉目)だ。
知らなかった。アザラシやオットセイはネコなんだ。

ジュゴン目(海牛目)をよく調べてみると、アフリカ獣上目とある。
一方、ゾウをよく調べてみると、アフリカ獣上目・長鼻目とある。
ゾウとジュゴンは同じアフリカ獣上目、仲間同士だったんだ。
しかも、アフリカ獣上目の中でもゾウとジュゴンはテティス獣類という同じ分類群で、
長い鼻やヒレなど見た目は全く違うけど、目の穴(眼窩)の形などよく似ているそうだ。

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どう見てもゾウの仲間には見えない。いや、ちょっと似てるか。三重県・鳥羽水族館のジュゴン。

見た目は同じようでも別の仲間。
見た目は全然違うけど同じ仲間。
見た目は生き方で変わる。
見た目は見る目で変わる。

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