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おでんから宇宙が見える(2024.1)

魔法のおでん

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

お正月で久しぶりに家族が揃い、
大勢じゃないと楽しくない鍋や手巻き寿司で食卓を囲まれた方も多いのではないだろうか。
小生の家では、以前、正月はそんなものや刺身を食べながら、
サイドメニューとしておでんを作っていた。
おせちに飽きたものは適宜おでんをつまむという作戦だ。
おでんはいつでも好きなネタをちょこっと食べれる。

正月じゃなくても、夕食がおでんだと、必然的に翌日の朝ごはんのおかずはおでんの残りであり、
昼の弁当のおかずもおでんとなる。
翌日以降は具は減るが汁は残るものだから、
竹輪やさつま揚げなど冷蔵庫にあった練り製品を新たに投入し、
食べると増える魔法のメニューと化す。

結局、最後は汁はスープに、卵や練り製品はトッピングとなって、
休日の朝食のうどんと化してめでたくおでん週間は終わるのである。
この冬ももう何回おでん週間を過ごしただろう。

おでんは元々いわゆる田楽であり、豆腐やこんにゃくに味噌を塗って焼いたものが発祥である。
丁寧語の「お田楽」からなぜか「楽」が抜け落ち、「おでん」と言われるようになったそうである。
小生が子供のころは「おでん」とは言わず「関東煮(かんとうだき)」と言った。
関東煮という名前から、この食べ物は関東からもたらされたものだと思っていたが、
汁の色は薄くダシが効いていて、関東由来の食べ物とは思えなかった。

大きくなって関東の大学に行き、かの地のおでん屋でおでんを食べた。
それは関東らしい醤油の効いた黒くかつ甘い汁だった。
これこそが関東煮だと思った。

コンビニを中心に、今「おでん」といえばダシが効いた色の薄い汁が主流だ。
関西で「関東煮」と呼ばれていたものが、どうやら「おでん」として関東に逆移入されたようだ。
ちょっとこんがらがるね。
やっぱりおでんには魔法がかかっている。

おでんの想い出

かくのごとく、おでんにはルールがあるようでない。各地で様々なおでんに遭遇する。
ネタで言えば、広島ではダシ取りを兼ねた重要なネタは牛スジである。
トロトロになったスジ肉はもう、たまらん。

関東で初めて遭遇したネタは「ちくわぶ」である。
小麦粉の塊を醤油で煮たというのが偽らざる印象である。
大阪の「さえずり」。
「さえずり」は鯨の舌である。道頓堀の「たこ梅」にこれを食べることだけを目的で行ったことがある。
「金沢おでん」の車麩やバイ貝もいいんじゃないかな。
ちなみに近県では、「松江おでん」が秀逸である。
まだ食べたことがなく、一度食べてみたいのが「静岡おでん」である。
噂に聞く黒い汁と黒はんぺん。とにかく一回行かんといけん。

image002_20240105091935c8a.jpg
金沢おでん。
左は出し巻きと車麩。おでんネタで出し巻きは金沢で初めて見た。
右はおでんと並ぶ人気メニュー牛すじ煮込み


あと、おでんではないが京都は大原三千院の「初午 大根焚き」である。
数年前の2月、雪の中を大原に行った時のことである。
三千院の不動堂の前で何かやっている。聞けば、大根焚きの無料接待だという。
大きな鍋で輪切りにした大根を煮ているようだ。小生も列に並んで椀と箸を受け取った。
丼ではないかという大きさの椀に輪切りになった大根が一切れ。
でかい。なんて大きな大根だろう。
大原の畑で有機農法で栽培された大根だというが、こんな太い大根見たことがない
雪の三千院の忘れられない思い出である。

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大原三千院の「初午 大根焚き」。直径15cmぐらいあろうかという大根だ。

沖縄は那覇の桜坂あたりの看板も何も出てないただの民家のようなおでん屋に
現地の後輩(但しヤマトンチュー)に連れていってもらったことがある。
小生と同じようにお酒の好きな彼は小生の好みをよく知っていて、
観光客の行かないディープな飲み屋に連れて行ってくれるのだ。

その店はおばぁが一人でやっていた。
他に客はいない。カウンターに座った。彼は店とは顔なじみだ。
おばぁが小生に「ヤマトンチューか?」と聞く。「そうだ」と答える。
「食べれない物はないか?」と聞く。「ない」と答える。おばぁがにやっと笑った(ように見えた)。

鍋の中から何やらネタを取り出して皿に入れ、小生の前にどーんと置いた。
テビチ(豚足)だ。
しかし、その辺で見るようなテビチではない。
その辺で見るテビチは手首(足首?)から先だ。目の前のテビチは肘(膝?)から先だ。
「おー!」コラーゲンの塊がばらばらの骨になるまでむしゃぶり倒した。
今まで食べたおでんの中で、ヴィジュアルも味も最高のネタだった。

△〇□

おでんと言えば、チビ太である。
チビ太は小生が敬愛してやまない赤塚不二夫の「天才バカボン」と並ぶ名作
「おそ松くん」に登場するキャラである。
チビ太はイヤミと絡みながらいつも手におでんを持っている。
串にささったそれは、上から△〇□の形をしている。

赤塚不二夫によれば、これは上から順にコンニャク、ガンモ、ナルトだそうである。
小生はずっとコンニャク、大根、竹輪と思っていた。
ちょっと違和感があるのが最後の□のナルトである。
なぜかというと、ナルトはここ広島ではおでんネタではないというか、
ナルト自体を料理であまり使わない。
ナルトは東京ラーメンの定番のトッピングだが、なぜこんなものがとも思う。

しかし、ナルトは静岡おでんのご当地ネタである。
なぜならナルトは焼津が全国一の産地だからだ。
でも赤塚不二夫と静岡には接点はない。

△〇□といえば、わが広島にちょっと順番が違うが「株式会社△□〇」という会社がある。
本当に「△□〇」という社名なのだ。冗談ではないのだ。
看板や広告で見かけた人もあるかもしれないが、パーテションなどを作る会社だ。
△□〇は「みよまる」と読む。読み名は図形の辺の数に由来するそうだ。

会社HPによれば、会社を設立して社名で悩んでいた時、何気なく身近なものを見渡していると、
「あの屋根は△、あの窓は□、人の顔はまん〇」という「大発見」をし、
△□〇=世の中=宇宙との思いに至って命名したそうだ。
何か「三方よし」やCSR(企業の社会的責任)の崇高な香りさえ感じる。
これでいいのだ。

チビ太のおでんの△〇□で、前から思っていたことがある。
それは五輪塔である。
五輪塔は主に供養塔や墓として使われる石や木でできた塔である。
五輪塔は下から四角、丸、三角半丸、宝珠の形を積上げ、
それぞれ宇宙の構成要素である五大、すなわち地・水・火・風・空になぞらえられる。

五大のうち、地・水・火を三大という。
チビ太のおでんは△〇□の積上げ方やバランスが美しい。
チビ太のおでんは宇宙の根源を表す三大なのである。
恐るべし、チビ太。そして赤塚不二夫。
おでんはこれでいいのだ。

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チビ太のおでん(左)と五輪塔(右)

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