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笛吹き男が潜む国(2022.3)

消えた家、消えた子供

近所の邸宅が壊され、3軒の建売が建った。

小生は広島市郊外の住宅地に住んでいるのだが、
すぐ近所に庭を入れて300坪の弁護士だった人の大きな邸宅があった。
代替わりして小生と同い年の息子夫婦が住んでいたのだが、
両親が他界し、子供が成人すると、土地を売って中心市街地のマンションに引越していった。

あの大きなしっかりした家があっという間に庭ごと跡形もなく取り壊され、
土地は細切れにされて、その一部に30坪あまりの安っぽい建売住宅が3軒建ったのだ。
彼たちがいなくなって、
町内会の班では「アラ・シックス」の小生夫婦が一番の若者になってしまった。
そういえば、ここ数年、道路で遊ぶ子どもの姿をとんと見ない。

ろくむし

僕たちが子供の頃は、道路が子供の遊び場だった。
そこで何して遊んだか。
まず、何といっても「ろくむし」だ。

「ろくむし」は、まず、十数m離して直径2mぐらいの円を2つ書き、
(アスファルトの道路に線を描くのは「書け石(滑石)」で描くのだ)
2組に分かれ、1組(攻める側)は描かれた円の中に全員入り、バッターを1人決める。
もう1組(守る側)は2つの円の間に散らばり、ピッチャーを1人決める。

ボールは柔らかい小さいゴムボールである。
ピッチャーの投げたボールをバッターが打てば(手で打つ)ゲーム開始で、
円の中にいた者は全員向うの円に走り出す。

守る側は打たれたボールを拾い、走っている者に投げて当てる。
当たった者はアウトになり、ゲームから脱落する。
向うの円にたどり着けば、円の中は安全地帯だ。

アウトになった者以外が全員円にたどり着けば、
ボールを持った攻める側の1人が円の中に片足を入れ、
「1むし、2むし…」と数えながら真上にボールトスを繰り返す。

6回トス…即ち「6むし」になる前に円を出て向うの円まで走りださなければならない。
走り出せば、守る側はボールを投げ・拾いながら走っている者に当てる。
これを繰り返す。

2つの円を1回往復したら「1むし」で、
「6むし」・・・即ち、1人でも6回往復できたらその組の勝ちであり、また攻める側となる。
負けたら攻守を代える。

「ろくむし」は、他の地域ではあまり聞いた事がないので、
広島地方だけの遊びかと思っていたら、そうでもないらしい。
ネットで検索すると、結構各地で遊ばれていたようだ。
しかし、攻守の2グループに分かれ、ボールを打って走るのは同じだが、
いろいろな遊び方やローカルルールがあるようだ。

image002_202202280929123bf.png
「ろくむし」:2つの円を6往復。投げられたボールをよけれる子がヒーローだった。

元大小中

「ろくむし」の次によくやったのが「元大小中」だ。
これは全国的には「元大『中小』」というようだが、なぜか僕たちは「元大『小中』」と言っていた。

「元大小中」は、一辺が数mの正方形を描き、田の字に4分割する。
中央に小さく円を描き、4分割された扇形にそれぞれ「元大小中」の文字を書く。
(道路に描く時はもちろん「書け石」で)

ジャンケンして勝った順に「元大中小」(ここは「元大『小中』」ではないのだ)のコーナーに入る。
「元大中小」はランクで、「元」が最上位、「小」が最下位である。
それ以外のものはジャンケンで勝った順に「小」の後ろの「ようちえん」のコーナーに並ぶ。

このゲームで使うボールはドッジボールだ。
まず、「元」の者がボールをワンバウンドさせる。
ワンバウンドしたボールは他の3つコーナーのどこかに向かう。

もし自分のコーナーでボールがワンバウンドしたら、
それを他のコーナーでバウンドするように打ち返す。
ワンバウンドで打ち返せなかったり、
打ったボールが田の字のコーナーの外に出ればアウトで、1ランク下がる。

「小」の者がアウトになれば「ようちえん」入りになり、その最後尾に並ぶ。
代わって「ようちえん」の筆頭者が「小」に昇格する。
「元大小中」の文字が書かれた真ん中の円のスペースでボールがバウンドしたら最悪で、
(かなり下品な特別の名前でよんでいたが思い出せない)
どんなランクにいても「小」に降格になる。

このゲームはボールの打ち方に作戦があって、
フェイントをかけたり、強く打って高く遠くへバウンドさせたり、
逆に「ちょっこん」といって弱く打って低くバウンドさせたりして返しづらいボールを打つのである。

このゲームには正式な終わりがない。
誰かがもう止めようと言い、みんなが同調すればそれで終わりである。
いつでも止めることができるので、小学校の休み時間にやるのにはもってこいだった。

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「元大小中」のコート。道路で、広場で、校庭で、飽きもせずよくやった。

「ろくむし」や「元大小中」だけではない、
あの頃何をして遊んでいたか思い出してみると、「たすけ」(いわゆる「けーどろ(警泥)」)、
「らむねっちん」(ビー玉遊びのこと。ラムネの玉だからこうよんでいた)なんかよくやったなあ。
そういえば、ふろしきを首のところで結んでマントにして走り回って遊んだな。
おそ松くんのイヤミの「シェー」もよくやって、バカな真似をするなと親に怒られたな。

駄菓子屋の思い出

近所には貸本屋も兼ねた駄菓子屋があって、
チューブに入ったゼリーとか、
先端にいろいろな飴がついている糸を束ねたものを引くやつとか、
ちっちゃなプラスチックの入れ物に入ったヨーグルトもどきとか、
今から言えば合成着色料と保存料の塊のような魅力的なお菓子の数々あった。

駄菓子屋
駄菓子屋さん。店に入る前からときめいた。

お菓子だけではなく、あれは何ていうものだったか忘れたが、
指につけてこすれば煙が出るものとか、紙石鹸とか、
10円玉を握りしめて買いに行ったなあ。

そういえば、紙芝居のおじさんもよく来たなあ。
子どものお目当ては紙芝居ではなく、紙芝居の後におじさんが販売する型抜きなのだ。

型抜きは、何で作られているかわからないのだが(食べられる)、
厚さ2ミリぐらいで数センチ角の小さなシートにいろいろな絵が線描されていて、
その線を針で少しずつなぞって削り、絵を切り離せば、水あめがもう1つもらえるのだ。
しかし、もう少しのところで、たいてい割れたりしてしまう。

型抜き
型抜き菓子。いつもあと少しのところで「パリン!」

水あめは短く切った2本の割りばしにおじさんが絡めてくれる。
水あめはすぐは食べない。
2本の割りばしを回すようにかなりの時間こねると、透明だった水あめは白く濁ってくるのだ。
みんな一生懸命こねる。
水あめを白く濁らせると、何か美味しいような気がした。

化学調味料とか合成着色料とかという言葉もない時代。
今から思えば、僕らが食べた駄菓子は、多分その塊のようなものだったのだろう。
しかし、今はもっとあざといものがたくさんある。
高血圧で中性脂肪が高く、痛風もちの小生であるが、何とか今まで生きながらえている。

そこにいる「笛吹き男」

「ハーメルンの笛吹き男」は史実に基づくグリム童話である。
ハーメルンの町にはネズミが大繁殖して人々を悩ませていた。
ある日、町に笛を吹く男が現れ、報酬をくれるならネズミを退治するというので、
ハーメルンの人々は男に報酬を約束した。

男が笛を吹くと、町じゅうのネズミが男のところに集まり、ネズミは残らず退治された。
しかし、ハーメルンの人々は笛吹き男との約束を破って報酬を払わなかった。
笛吹き男は一旦街から姿を消したが、再び現れ、
人々が教会に集まっている時に笛を鳴らしながら通りを歩いていくと、
町中の子供たちが男の後をついていき、笛吹き男も子供たちも、二度と戻ってこなかった。

小生の住む住宅地でも、朝夕は通学する小学生や中学生が多くみられる。
しかし、下校した後、外で遊ぶ小学生や中学生はとんと見た事がない。
彼らは学校から帰って、どこで何をしているのだろうか。

僕らが子どもの時と違って、
今頃の子どもにとって家の周りの「まち」が遊び場にならないことも一因だろう。
ネット、SNS、塾…が直接の原因だろう。
しかし、明らかにおかしい。
とても異常なことだと思うのである。

「まち」に子どもがいるのにいないなんて。
少子化はやむを得ないとしても、子どものいない「まち」には、
何かとてつもなく大きなものが潜んでいるような気がしてならない。
見えない「笛吹き男」が、知らないうちにわが国に潜み、
明日を担う子どもたちを蝕んでいなければいいのだけど。

| コラム | 09:55 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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