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桃太郎はオズの魔法使いと戦えるか(2020.11)

桃太郎の多様性とは

新聞を見ていたら、絵本のような一面広告がある。
タイトルは、「桃太郎はなぜこの3匹を仲間にしたのか」。
何じゃこりゃと、それに続くコピーを読んでいると、
「おそらく桃太郎はチームに多様性を取り入れ、
ある種のケミストリーを起こそうとしたのではないでしょうか うんぬん」とある。
どうやら多様性の重要性をアピールする広告のようだ。

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桃太郎はなぜこの3匹を仲間にしたのか。

で、どんな会社がこんな広告を載せたんだろうと見ると、なんと、「JT」とある。
しかし、近年何かと目の敵にされがちなタバコを作っている会社が、
アピールしたい「多様性」とは、何が言いたいんだろう。
ちょっと戸惑ってしまった。
金子みすゞの「私と小鳥と鈴と」の「みんなちがって、みんないい」は、
すっと心に落ちてくるのだけど。

 私が両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが、
 飛べる小鳥は私のやうに、地面を速くは走れない。
 私がからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど、
 あの鳴る鈴は私のやうに、たくさんな唄は知らないよ。
 鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい。


3人の従者の物語

桃太郎の多様性については、そこで思考停止してしまったのだけど、ふと思ったのだ。
何で家来は3匹で、それも犬、猿、キジなんだろう。
そして、そういえば、世界の物語で冒険の旅をするチームは、主人公プラス3人?
(人間ではない場合、そしてほとんどがそうなのだが、この場合、数詞は何て言えばいんだろう)
であることにふと気がついたのだ。

 【桃太郎】桃太郎+犬、猿、キジ
 【西遊記】三蔵法師+孫悟空(猿)、猪八戒(豚)、沙悟浄(河童)
 【オズの魔法使い】
  ドロシー+脳みそのないかかし、心のないブリキの木こり+勇気のないライオン
 【スター・ウォーズ】
  ルーク・スカイウォーカー、ハン・ソロ+C-3PO、R2-D2、チューバッカ

桃太郎の場合、諸説あるが、十二支方位を根拠とする説が有力だそうだ。
風水では、災いをもたらす鬼を鬼門―北東すなわち丑寅(うし・とら)。これを表鬼門という―
の方角とすると、その対極にあるのは申未(さる・ひつじ)で、
そこから考えられたという説である。

しかし、ここで2つの疑問がある。
南西の申未の方角は、丑寅の表鬼門に対して裏鬼門といい、
表鬼門と同様不吉な方角なのである。
また、丑寅の対極にあるのは申未で、酉と戌は相対しない。
ちょっと苦しいんじゃないかな。

岡山の吉備津彦命の温羅退治伝説に出てくるという
犬飼部 犬飼健・猿飼部 楽々森彦・鳥飼部 留玉臣の3名の家来からの由来説の方が
まだありそうな話だ。

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表鬼門の丑寅の対極にあるのは裏鬼門の申未である。

西遊記の場合は、これはもう実質的に孫悟空物語だが、
孫悟空は「火」、猪八戒は「土」、沙悟浄は「水」をイメージさせることから、
中国の物語でもあり、
万物は火・水・木・金・土の5種類の元素からなるという五行説を必然的に想起させる。
とすれば、三蔵法師は「木」「金」となるのだろうか。

3人?の従者の物語で小生が一番心惹かれるのがオズの魔法使いである。
なぜって、他の物語と違って、
オズの魔法使いの3人?の従者たちは最初から「ヘタレ」なのである。

ドロシー+3人?で力を合わせて旅をしてついに帰ってきた彼らに、
オズの魔法使いは望みどおり
かかしには脳みそを、ブリキの木こりには心を、ライオンには勇気を与える。
しかし、実は、オズは魔法使いでも何でもなく、ただの人間だった。

彼は、本当は、
かかしが賢く、木こりは優しい心を持ち、ライオンには勇気があることを知っていたので、
作り物の脳みそ、心、勇気を彼らに与えたところ、
彼らは本来の自分を取り戻し、願いがかなったと喜んだ。
そして、最終的には3人?ともオズの国の王さまになるのだ。

オズの魔法使いは、主役のドロシーだけでなく、3人?の従者がなぜそうなったか、
それぞれのうんちくある物語が重層的に語られる。
そしてそれは、知恵や人を思う心や勇気は、本人は気づいていないが、
本来誰もが持っているものであることを暗示しているのである。

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オズの魔法使いの3人?の従者たちは最初から「ヘタレ」だ。

さて、スター・ウォーズについての問題です。
1977年から2019年の40年以上にわたって続いたスター・ウォーズ全9作において、
ただ一人、全ての作品に出演した俳優さんがいます。
さて、誰でしょう。

それは、アンソニー・ダニエルズさんです…といっても分からないだろう。
C-3POを演じたイギリスの役者さんだ。
ロボットの役なので、本人の素顔をさらすことはないが、出演者には間違いない。

ちなみに、ジョージ・ルーカスは黒澤明を敬愛しており、
C-3POとR2-D2のキャラクターは、
黒澤明の「隠し砦の三悪人」のサブキャラクターともいえる、
藤原釜足演じる又七と千秋実演じる太平を元ネタにしていることは有名な話である。
スター・ウォーズの3人?の従者は、大きなストーリー展開には関係しないが、
物語の味付けには欠くべからざるキャラクターである。

「生物」多様性

ここで再び「チームの多様性」に立ち返れば、
3人?の従者の物語の中で、桃太郎が最も多様性が低いと思う。
だって、全員動物じゃないか。

てなことを言っていると、
フマキラー株式会社が運営する「For your LIFE」というオウンドメディアの「お役立ち情報」に
面白い記事を見つけた。
それは、「桃太郎の家来をキジの代わりに召集するとしたら、何にする?」という記事である。

鬼ヶ島に鬼を退治しに行く日が迫っているというのに、
キジが急遽、バイトで来れないということになってしまった。
そこで桃太郎と猿と犬が審査員となって、
鬼退治に参加するメンバーのオーディションを緊急開催することとなり、
最終的にはキジと同様、飛ぶことができるワシ、ニワトリ、蚊の3名?が残った。

結局、主役である桃太郎を脅かすことのない薄い存在感であること、
鬼を刺して痒くさせること、
桃太郎の好きなきび団子をほとんど食べないことなどから蚊が選ばれる。
(このへんのバカバカしさがいいんだよな。天才バカボンを彷彿とさせる)

そして、いざ鬼ヶ島決戦当日を迎えると、
バイトのシフトの調整がついて、なんとキジが急遽参戦できるようになり、
計5人(1人+4匹)で鬼ヶ島に行ったところ、いつもより多いメンバーだったので、
今まで以上に力を発揮することができ、無事、鬼を退治することに成功しました!
(バイトのシフトの調整がつくなんぞ、このバカバカしさがさらにいいんだよな)

という、実にいい話である。
さすがフマキラー、見えてないだけで、実はひっそりと蚊が参加していたというオチである。

蚊が入ることによって、「チームの多様性」はかなり向上したと思う。
しかし、「生き物」という枠を超えることはできない。
西遊記も、妖怪という生き物の枠の中での話だ。
スター・ウォーズは生き物の枠は超えているが、生き物に近いロボットと猿の怪人だ。

そういう意味からも、オズの魔法使いはすごいと思うのである。
しかもだ、脳みそ・心・勇気がないというものたちだ。
妖怪や怪物はどうやら生き物のようだが、
脳みそや心がないものは、はたして生き物なのだろうか(実は、本当は持っていたのだが)。
(ウィルスは生き物ではないという話を思い出す)

と、ここまで考えていてわかったことがある。
多様性と、は生き物に係ることなのである。
物がどんなに色々なものがあっても、多様性とは言わない。
しかし、風景や地形・地物、文化や風俗などは、生き物ではないが多様性という言葉を使う。
それは、風景や地形・地物は生き物の生育・生息基盤であり、
文化や風俗は生き物である人間がつくり出したものだからだ。

「多様性」は、実は「『生物』多様性」以外にあり得ないのではないかと、思い至ったのだ。

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