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京(みやこ)エコロジーセンターで感じた1200年の京(みやこ)(2020.8)

だから私は京都へゆくの

ここのところ、飛び石連休に振休や有休を押し込んで連休にし、京都に行っている。
いや、京都に通っている。

数Ⅲ・物理・化学が受験の必須科目だったにもかかわらず、
得点源は日本史・古典・漢文だった小生にとって、
古くからの日本が詰まった京都は特別なまちである。

行けば行くほど、次から次へと新たな発見が生まれ、
その文化と歴史の厚みにからめとられてしまう。
今回は、京都のお寺や仏像、庭や建物、美術館や博物館、食べ物の話ではなく、
本来の環境の話である。

京は環境活動のみやこ

京都は日本の環境活動のメッカである。
なぜなら、京都は「環境市民」の発祥の地だからである。

環境市民は、環境NGOとして1992(平成4年)年に設立された。
ちなみに、当時はまだNPO法人という制度はなく、環境市民は2003年にNPO法人になった。

1992年という年は、環境に関わる者にとってとても重要な年だ。
なぜなら、1992年は、リオ宣言やアジェンダ21が採択され、
気候変動枠組条約や生物多様性条約の署名が開始された地球サミットが開催された年だからだ。
世界が環境に向けて大きく軸足を動かすまさにその流れの中で、環境市民は生まれたのだ。

以後現在に至るまで、環境市民は多彩な活動を続けている。
特に、2001年から10年間実施された「環境首都コンテスト」は、
多くの自治体を巻き込んで社会的に大きな影響力を発揮した。
環境市民代表の杦本育生さんは、知る人ぞ知る環境活動の大御所である。
先方は記憶のかけらもないだろうが、小生も広島で一度だけお会いしたことがある。

京都には他にも多くの環境活動団体があるが、そのひとつに「ふろしき研究会」がある。
ふろしき研究会も環境市民と同様、1992年に設立されたNPOである。
小生の持ちネタのひとつであるふろしき講座は、
このふろしき研究会に所属されていた方から個人的に学んだものである。

京はエコロジーのみやこ

その京都の環境活動の中心拠点が、
京都市環境保全活動センター「京(みやこ)エコロジーセンター」である。
以前からその存在は知っていたのだが、
環境活動のメッカ京都の普及啓発施設には是非一度行ってみたかったのだ。
そして、この度、ようやく訪ねることができた。

京エコロジーセンターは、
1997年に開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)を記念して、2002年に開設されたもので、
この経緯からもメモリアルな施設だ。
本施設は、COP3開催の前年の1996年に策定された「新京都市環境管理計画」でうたわれた
「COP記念センター構想」を実現したものなのだ。

本施設には、京都市の環境行動計画「京(みやこ)のアジェンダ21」を
市民・事業者・行政のパートナーシップで実行していくために1998年に創設された組織
「京(みやこ)のアジェンダ21フォーラム」も事務局を置いている。
現在は、(公財)京都市環境保全活動推進協会が指定管理者となって運営を行っている。

本施設で来訪者のガイドや活動のサポートを行っているのは、環境ボランティア「エコメイト」である。
本施設で市民への普及・啓発を図ると同時に、
併せて環境ボランティアの活躍の場の創出も実現しているところを見過ごしてはならない。

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京エコロジーセンターは、京都市街地の南、伏見区深草にある。

実物の訴求力

京エコロジーセンターの展示は、「実物」というコンセプトに貫かれている。
環境に関する事柄は、文章よりも絵、絵よりも写真、写真よりも実物を見せる事が非常に重要である。
特に、実物で量的な質感を直接見せる事は大きな効果がある。
加えて、実際にそれに触れることができれば完璧である。

小生は、水に係る環境学習では、
いかに私たちが無意識に多くの水を使っているかという話をまずする。
私たちが一人一日に使う水の量は、200~300リットルといわれている。
そんな、何リットルもの水なんか飲めやしないと思われる方が多いと思うが、
水は飲むだけではないのだ。

私たちが水を多く使うのは風呂とトイレである。
風呂の浴槽はだいたい200リットル前後、トイレで使う水は、大は6リットル、小は5リットル弱である。
200~300リットルは、2リットル入りのペットボトルだと100~150本である。

口で200~300リットルと説明するのと、
百数十本のペットボトルを実際に見せるのは大きな違いがある。
百数十本のペットボトルを教室などの環境学習の場にもってくることはできないので、
小生はいつも歯がゆい思いをしていたのだが・・・
京エコロジーセンターでは、その実物が展示されていたのである。やられた!

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やられた!この実物の量的な質感が大事なのだ。
しかも、クイズ形式で意外性を誘う見せ方も心憎い。

「ごみ」は一般市民にとって最も身近で分かりやすいテーマである。
どの自治体でも、一昔前に比べてごみは大きく増えている。
その原因は、容器包装である。特に、プラスチックである。
小生が子どもの頃は、豆腐も納豆も卵も肉も魚も容器には入っていなかった。
今はみんなプラスチックの容器に入っている。

一般家庭から排出されるごみの量の変遷は、普通ならグラフなどの図で表すところだが、
京エコロジーセンターでは実際のごみによって見せている。
それは、量の変遷だけでなく、質の変遷も容易に見てとることができる。

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家庭から排出されるごみの量だけでなく、その種類の変遷も一目瞭然である。
実物だから。


しかし、いちばん感心したのはごみバケツである。
コーナーにごみバケツが無造作に置いてある。
蓋には「ごみ箱の中はどうなってるかな?」と書いた紙が貼ってある。
こうあれば、誰だって蓋を取るよね。蓋を取ってみると・・・

えっ!ごみバケツの中は万札(模造品)が詰まっているのだ。
わが国のごみ処理にかかる費用は年間一人当たり14,000円といわれている。
当たり前だけど、これはすべて税金でまかなわれている。
僕たちは、ごみではなく、実はお金を捨てているのだ・・・
ということを、分かりやすく、しかも意外性のあるドラマ仕立てにして説明している。
何という訴求力のある展示方法だろう。

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ショック!ごみバケツの中には万札が・・・

恐るべし! 1200年の京(みやこ)

京エコロジーセンターには小・中学校の授業で使用する環境学習の副読本が置いてある。
この副読本は、本施設の指定管理者である(公財)京都市環境保全活動推進協会が制作し、
京都市が発行しているものである。
環境学習の副読本を作成している自治体はいくつか知っているが、
京都市は学年別に3種類を毎年作成していることは特筆すべきことである。

小学校4年生のものは、社会科でごみの単元があることから内容はごみであるが、
小学校5年生のものは京都の自然、中学生のものは地球環境から説き起こしている。
そして、そのどちらにも共通なのが「わたしたち」「くらし」というキーワードである。

あたりまえのような副読本のタイトルと
さりげない「〇〇と私たちのくらし」という目次建てがそれを物語っている。
しかし、「わたしたち」という言葉は、「ひとごと」ではなく「わがこと」ということ、
「くらし」という言葉は、イコール実践、しかも日常的な実践ということを象徴している。
“Think globally, Act locally”そのスタンスが子どもの時から貫かれ、積み重ねられている。

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右から小学校4年生、5年生、中学生用の環境学習の副読本。

京都という土地柄は、独創的な技術を持った企業のインキュベーターである。
島津製作所しかり、京セラしかり、オムロンしかり、そして、京アニしかり。
京都というまちには人と文化と歴史によって積み重ねられた不思議な力がある。

恐るべし!1200年の京(みやこ)。
だから私は京都へゆくの。

| コラム | 09:29 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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