PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

自然の本当の姿を垣間見る(2018.4)

実物を見ることでしかわからない

ここ数年、エネルギーに関する環境学習の仕事に取組んでいる。
小学校に出向き、出前授業を行うのである。
ボランティアではなく、ビジネスである。
官庁発注のれっきとした委託事業である。
まだほんの一部だが、
近年はこのようなことが仕事として認められるようになったのは、
実にうれしいことだ。

子どもたちにエネルギーの話をするのは、そんなに簡単な話じゃない。
まず最初にして最大のネックとなるのが、発電・・・
最も一般的な火力発電の仕組みである。
大人なら説明すればすぐ理解できるが、子どもはそうはいかない。

何が難しいかというと、石油や石炭を燃やすということと、
今、目の前で点いている教室の電気を結びつけることである。
二つのものは別々の場所で起こっている別々の事象であり、共通点はない。
しかも、石油や石炭を燃やして発電しているところは誰も見た事がない。

石油や石炭を燃やして水蒸気を発生させ、タービンを回す。
ここまでは比較的簡単だ。
比較的簡単だけど、
その仕組みを実際に目で見せなければ、子どもは本当に理解しない。

難しいのはこの後で、
タービンが回り、タービンにつながった発電機により発電される・・・
では飛躍が大きすぎで子供にはわからない。

そう、電磁誘導である。
電磁誘導は中学校で習うのだ。
コイルの周りの磁場が変化すると、コイルに電流が発生する。
発電機的に別の言い方をすると、
巻いたコイルの中で磁石を動かすとコイルに電気が流れるのである。

その逆がモーターだ。
フレミングの右手・左手の法則だ。
この仕組みを理屈ではなく、目で見せなければ、子どもは本当に理解しない。

電気に関する単元は、新しい指導要領になって小学校に下りてきて、
学校には教材も少なく、教える先生も苦慮されている。
また、学校は何がないって、お金がない。
電気に関する単元で活用できる実験装置など、
学校ではとても準備することはできないのである。

そこで小生たちは、火力発電の仕組みが分かる「火力発電実験装置」と、
電磁誘導の仕組みが分かる「電磁誘導実験装置」をそろえ、
子どもたちの目の前で実際に動かしてみる。
意外だったのは、これらの実験装置は子どもたち以上に先生が喜ぶことだ。

image002_2018033015071288a.jpg
これが「火力発電実験装置」だ。
ボイラー(フラスコ)で温められた水は水蒸気となってノズルから吹き出し、タービン(プロペラ)を回す。
タービンの後ろには発電機があり、LEDが点灯することにより発電されたことが分かる。
タービンが回り始めたとき、LEDが点灯したとき、子ども達からどよめきがあがる。

image004_201803301507157e4.jpg
こちらは「電磁誘導実験装置」。
子どもたちがハンドルを回すと磁石が回転し、
両側のコイルに電気が流れ、LEDが点灯する。
発電機の中はこんなになっているんだよ。
要は、何かの力で磁石につながった軸を回せばいいんだ。

鋭い子ども

エネルギーの出前授業をやっていると、
たまに鋭い質問や意見を言う子どもに出会う。

ある学校でこんなことを言う子どもに出会った。
「石油や石炭を燃やしてCO2が出るのなら、
ごみや木(バイオマス)を燃やしてもCO2が出るでしょ。
ごみは燃やさないと仕方ないけど、バイオマスも環境に悪いんじゃないんですか?」

そう、この子どもは「カーボンニュートラル」のことを言っているのである。
植物は大気中のCO2と根から吸い上げた水を太陽の光を触媒として炭水化物を生成し、
酸素を排出する光合成を行って成長する。

「カーボンニュートラル」とは、
植物体を燃やすと実際にCO2が発生するが、
このCO2はもともと大気中にあったものを光合成により植物が取り込んだもので、
排出されても元の大気に戻っただけで、CO2は増えたとはみなされない、
ということである。
普通の大人でもなかなか気づかないことに気づく子どもがいるのである。

またある時はこんなことを言う子どもに出会った。
それは、どんな発電方式も長所と短所があるという話をしている時だった。
太陽光発電の最大の弱点は、
当然ながら太陽の出ない夜は発電できないこと、
天気の悪い日は能力が落ちること、大気の影響で発電効率が悪いこと、
次に天気に左右されるので発電にムラがあることなどを話した時だった。

その子はこう言ったのだ。
「じゃあ、雲の上で太陽を追っかけながら発電すれば、
天気にも影響されず、いつも発電できるんじゃないですか?」

これはすごい。
これは「宇宙太陽光発電」なのだ。
まだ構想段階だが、JAXAなどが本気で考えているものなのだ。
「宇宙太陽光発電」は、ロケットで打ち上げた太陽光パネルを宇宙空間で広げて発電し、
発電した電気をマイクロ波で地上に送るというものだ。

問題は、一辺が数km四方という太陽光パネルを、
どうやって折りたたんでロケットで打ち上げ、
宇宙空間でそれをどうやって広げるか、ということだそうだが。

image006_20180330150717f9c.png
宇宙太陽光発電。
宇宙空間でいつも太陽の方を向いていれば、昼夜もなく、雨や雪の心配もない。
いつも100%の効率で発電できる。

どうして1+1=2なのだ

ロジックの穴に直感的に反応する。
常識にとらわれず自由に発想する。
こういう子どもたちに出会うととワクワクする。
僕はこういう子どもたちが大好きだ。
こういう子どもたちを大切にしたい。

かの発明王エジソンは、
子どもの頃、「1+1=2」がどうしても理解できなかったそうだ。
2つの粘土の塊をくっつけると1つの塊になるのに、
なんでそれが2なのかと。

エジソン少年は、先生から「頭が腐っている」と言われ、
わずか3ヶ月で小学校を退学させられた。
僕は、エジソン少年の素朴な疑問はよくわかる。
それを理解できない先生の方が、腐る前に「頭が固まっている」のだ。

子供の頃、発達性障害で言葉がうまく話せなかったアインシュタインは、
自分が光の速さで光を追いかける夢を見たという。
目が覚めて、
光の速さで飛ぶ自分の前に置かれた鏡に自分の姿は写るか考えた。
(自分から出た光が鏡で反射されて自分の目に届いて自分の姿が見える)

何ということを考える人だ!
どうしてこんなことを想いつくんだろう!

自然の発想は自由で美しい

自然の発想は自由だ。
鼻や舌が伸びて手のように使うことができる動物を誰が想像できただろうか。
自然はあるがままに象やカメレオンを創り出したのだ。

自然の法則は美しい。
教科書から脱線して二項定理やパスカルの三角形を「美しいもの」、
心を込めて数学を「美しいもの」として教えてくれた高校の数学の先生を、
僕は忘れない。
自然界の秘密を垣間見たようだった。

image008_2018033015071884d.png

二項定理とパスカルの三角形。
パスカルの三角形の横や斜めの各数列やその和もまた、
自然界で植物の花や実、巻貝などの螺旋などに見られるフィボナッチ数などの数列となっている。
何という不思議。何という神秘。美しい。

僕も、はっと思う小さな感動を伴う発見を、
少しでも子どもたちに伝えられたら、と思う。

そして、そんな子どもたちが、
自然の本当の姿をちらっとでも垣間見ることができたら、と思う。

| コラム | 16:05 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://touwakankyoukagaku.blog33.fc2.com/tb.php/103-324c015a

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT