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たくさんのふしぎ(2018.8)

アインシュタインの言葉

相対性理論をはじめ光や時空について
従来にはない大胆な発想で近代物理学の基礎を築いたあのアインシュタインが、
次のような言葉を残していることを知った。

「現段階では、科学がその正式な説明を発見していない、ある極めて強力な力がある。
それは他のすべてを含みかつ支配する力であり、
宇宙で作用しているどんな現象の背後にも存在し、
しかも私たちによってまだ特定されていない」

物理といえば、以前もこのコラムで書いたけど、
高校生の頃、原子のことが不思議でならなかった。

ご存じのように、原子は原子核の周りを電子が回っていると教えられた。
それはいいのだが、原子核や電子はとても小さいのだ。
いろいろ調べてみると、原子の直径は原子核の10万倍ぐらいあるという。
原子核の大きさを1mmとすると原子の大きさは100mになる。
原子を野球場に例えると、原子核は2塁後方にある砂粒だ。
原子って、スカスカじゃないか。

でも、例えば金属はカチカチで、ものがぎっしり詰まり、隙間なんてないじゃないか。
ということが、不思議で不思議で、
物理や化学の先生になぜそうなのか聞きに行った。
そしたら先生は「アシモフとかガモフとかの科学者がSF小説を書いているから、
まずそれを読んでみなさい」とはぐらかされた。
不思議だなあ。

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国際原子力機関(IAEA)のマーク(ラザフォードの原子模型)
原子核の周りを電子がぐるぐる・・・原子の中はスカスカじゃないか

光は波である。
波は、波という物質があるのではなく、ものが伝わっていく状態をいう。
例えば池に石を投げ込むと波紋が広がっていく。
水が波という状態を作っているのであって、波という物質があるのではない。
すなわち、波はそれを伝える媒体―この場合は水―があって、
初めて作られるものである。

ここまではいいのだ。何の問題もない。
問題はこれからだ。

太陽の光が地球に降り注ぐ。
で、太陽と地球の間に何があるのか。
真空じゃないか。なにもないではないか。
伝えるものがないのに、どうして伝わるのか。
おかしいじゃないか。
不思議だなあ。

僕はいったい誰だ

昨日のあなたと今日のあなたは違う。
いえいえ、精神論的な話じゃない。
昨日のあなたの体と今日のあなたの体は違う体なんだ。
バカなことを、と思われるかもしれないが、本当だ。

胃や腸の表面の細胞は1日で置き換わるのはご存じか。
ちなみに、赤血球の寿命は4ヶ月、骨細胞は10年だそうだ。
このように私たちの体の多くの細胞は程度の差こそあれ、絶えず置き換わっている。

ただし、置き換わらない細胞もある。
寿命が人間の一生と同じという細胞、すなわち、脳の神経細胞や心臓の心筋細胞だ。
だから、脳梗塞や心筋梗塞が致命的なのだ。
しかし、iPS細胞などの最近の再生医学では、
こんな二度と細胞分裂をしないといわれていた脳の神経細胞でも
再生する力を持つことが解ってきたそうだ。

日々どんどん入れ替わっていく自分の体。
じゃあ、僕っていったい誰だ。

突然だが、牛は草を食べ、その植物繊維(セルロース)を消化する。
私たち人間をはじめ、多くの動物はセルロースを分解することができない。
牛が4つの胃袋を持つことはご存じだと思うが、
牛がセルロースを分解できるのは、この4つある胃袋と大いに関係がある。

ところで、小生の今までの記述には嘘がある。
改めて言い直すことにする。
牛はセルロースを消化(分解)できない。

何を言っているのか。
じゃあ、今までの記述は何だったのか。

実は、セルロースは牛ではなく、
牛の胃袋にすみついている微生物が分解しているのだ。
牛は、これらの微生物がセルロースを分解して作り出したブドウ糖や、
されにそれから作り出したアミノ酸等を「食べて」いるだけなのだ。
すなわち、セルロースを「食べて」いるのは微生物であって、牛ではないのだ。

生きているのは、まず微生物であって、それにより牛が生かされているのだ。
じゃあ、牛の命って何だろう。
牛が生きているのではなく、
微生物の「乗り物」として生かされているだけではないのか、
という疑問がわいてくる。

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牛は牛であって牛でない。牛の胃の中に棲む微生物の乗り物だ。

ここまでくると、「パラサイト・イブ」の話を思い出す。
「パラサイト・イブ」は、ミトコンドリアが細胞の支配を逃れ、
宿主である人間に対し叛乱を起こすというSFホラー作品である。

生物の細胞内には真核とミトコンドリアがある。
両者は地球上に生命が誕生した頃はそれぞれ別の生物だったが、
やがてミトコンドリアは真核を持つ生物に取り込まれ、その一部となった。
しかし、ミトコンドリアは真核とは別のミトコンドリアDNAというDNAを持っており、
分裂、増殖する。

この物語の科学的知見のベースになっているのが利己的遺伝子説といわれるもので、
これは、今までの、種のための個体、個体のための遺伝子という考え方を逆転させ、
遺伝子から生物の進化を解釈するものである。

すなわち、遺伝子は自分のコピーを残すことを目的とし、
その過程で生物体ができあがるという考え方である。
つまり、我々人間を含め、生物個体は遺伝子が自らのコピーを残すために
一時的に作り出した「乗り物」に過ぎず、
ミトコンドリアDNAは、細胞、およびそれでかたちづくられる生物と「共生」しているのではなく、
自己の遺伝子のために生物に「寄生(パラサイト)」していると考えるものである。

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著者の瀬名秀明は当時東北大学薬学部大学院博士課程に在籍
第2回日本ホラー小説大賞受賞

これは、とてもショッキングなことだ。
僕たちは、生きとし生けるものは、さも自分の意志で活動し、生きているように思えるが、
それは全く違うということだ。

生命というものが生まれた時から、
自分のコピーを残すことだけが唯一の目的の遺伝子というものがあり、
それが延々40億年間、脈々と受け継がれてきただけのことだ。

その間に生まれ、死んでいった無数の生物は、その「乗り物」にしか過ぎなかった。
その最初の遺伝子の営みにより、
この世界のすべて、森羅万象が成り立っているのである。
この遺伝子の意思だけが、この世の中で唯一存在するものだとは。

再びアインシュタインの言葉

冒頭に述べたアインシュタインの言葉は、こう締めくくられている。

「この宇宙的な力は「愛」だ」

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