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勝手に使って勝手になくして勝手に困っている

再生可能エネルギー教室

3年前からある県の委託を受けて、
小中学校(小学校は5,6年生対象)で普及啓発事業を行なっている。

これは再生可能エネルギーの県民への普及啓発の一環として、
次世代を担う子どもたちに再生可能エネルギーの理解を深めてもらうことを目的に、
学校で出前授業を行うものである。

これまでも本コラムで断片的にお話をしたことがあるが、
年度末に平成25年度の事業が終了したので、今回はまとめてそのお話をしたい。

この事業は平成22年度から始まったのだが、背景として行政施策と学校教育の動向がある。
行政施策については、
自治体では風力発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入に力を入れていることがある。
学校教育については、
学習指導要領が改訂され、小学6年の理科で「電気の利用」として「手回し発電機などを使い、
電気の利用の仕方を調べ、
電気の性質や働きについての考えをもつことができるようにする」ことが求められるようになった。
また、東京書籍の小学校6年の国語の教科書では、「未来に生かす自然のエネルギー」という単元がある。

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東京書籍の小学校6年国語の教科書「未来に生かす自然のエネルギー」
理科ではなく、国語で再生可能エネルギーを教える。
理科ではなく、国語でとりあげるねらいは、論理展開、課題設定と発展学習にある。


新たに法律ができ、
平成24年7月から再生可能エネルギー固定価格買取制度が開始されたこともあって、
3年目に入ったこの事業は拡大され、平成25年度は学校数も16校と大幅に増えた。
事業の仕組みは、
教育委員会を通じて各市町村で授業を開催したい学校を募集して選定し、
当該学校に業務委託を受けた小生たちがお邪魔して、2コマ90分の授業を行なうというものである。

授業の様子

授業はまず、子どもたちの緊張をほぐして打ち解けてもらうため、
遊びの要素を取り入れたアイスブレイクから入る。

その後、パワーポイントを使って、電気は石油や石炭からできていること、
(震災前の中国電力の発電量のうち火力発電が占める割合は57%)
電気の主要な原料である石油はあと40年でなくなる(可採年数)といわれていること、
(異論もあるが)
火力発電は地球温暖化を招いていることなどをまず話す。

次に、化石燃料に変わるものとして再生可能エネルギーがあること、
最近では再生可能エネルギーの活用が盛んなこと、
みんなの身の回りにも再生可能エネルギーがたくさんあることを話し、
あわせて様々な再生可能エネルギーの紹介とその長所・短所について説明する。

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一方通行の講義にならないように、クイズを交えながら話をします。
マスコミに頻繁に登場するせいか、電気の原料として原子力をあげる子どもも結構多い。


パワーポイントで得られた知識を元に、
本授業のハイライトともいえるグループワークに入る。
グループワークは、数人の班に分かれて話し合い、
これから大事にしたいと思うエネルギーについて、
石油・石炭・原子力・ごみ発電・太陽光・風力・水力・バイオマスの中から
順位づけをしながら選らんでいくというもので、
「ピラミッドランキング」とよばれる手法である。
結果は班毎に発表してもらい、その発表内容について子どもたち同士で議論してもらう。

授業の最後は自転車発電である。
自転車をこぐとAKBの曲がラジカセから流れる。
子どもたちは我先に手をあげ、大いに盛り上がる。
踊っている女の子もいる。
自転車をこぐのは結構きついが、自分たちも発電できるんだ!ということを実感してもらう。

しかし、それだけでは終わらない。
自転車発電でたとえばジュースの缶を1つ作ろうと思ったら、
まる1日こがなければならないことなどを教えると、子どもたちはとても驚く。
(アルミニウムはボーキサイトを精錬する時、膨大な電力を必要とするのだ)
アルミニウムは、いわば電気の塊なのだ!
だから、空き缶をポイッと捨てちゃあいけないんだよ。
たくさんの電気を捨てているようなもんだ。ちゃんとリサイクルしよう。

自転車発電は中学生でも結構盛り上がる。
授業が終わっても子どもたちはなかなか教室に帰らない。
「一家に一台発電自動車をもつべき」と真剣にアンケートに書いた小学6年生もいた。

小学生は中学生より勉強できる!?

授業終了後、子どもたちにアンケートを書いてもらうのだが、
いくつか面白い結果がみられる。
授業は、内容的には中学校の方が少し高度ではあるが、
小学校、中学校とも基本的には同じ教材を用い、同じ話をし、同じ活動を行なう。
同じことをするのに、アンケート上では中学生の方が理解が浅いのである。
アンケートの「今日の内容はよくわかりましたか?」という設問に対する答えは、
圧倒的に小学生の方が「よくわかった」と答えているのである。
これは、どういうことであろうか。
思春期を迎えた中学生は、はすに構えて授業を受けているのだろうか。
授業をした時は、そんなムードは感じられないのだが。

さらに、学校によって大きな差がみられる。これは、感じることができた。
子どもたちの態度や授業への打ち込み方の学校による違いは、
確かにこちらにも伝わってくる。

アンケートの記入においても、
丁寧な字(きれいな字ではない)を書いている子どもの記述は、内容もある。
書きなぐっている子どもの記述は、内容がない。
そして、学校によって、丁寧な字を書く子どもと書きなぐっている子どもの偏りが大きい。
日頃の先生の学級運営がこういうところに如実に出てくるのである。

当の先生はどう思っているのだろうか。感じているのだろうか。
学校では研究授業などをよくやっておられるが、
他の先生や他の学校のことを知り、自分のことに思いをいたし、
改善していくということはないのだろうか。
学校こそ、品質管理システム(QMS)が必要なのではないだろうか。
継続的改善が必要なのではないだろうか。

いろいろな学校を回っていると、このようなことにも否が応でも目がいくのである。
良いことはさておき、さすがに悪いことは先生や学校には申し上げることはできない。
胸にしまい、校長室で良いことだけを申し上げ、引き上げるのである。

子どもたちの心に響いたもの

授業後のアンケートを読むのは面白い。
先生方のご意見やご感想もいろいろためになるのだが、
子どもたちが何に引きつけられ、何に驚いたかがよくわかる。

ダントツに人気があるのは自転車発電であるが、以外にも、グループワークの人気が高い。
学校教育の中で、子どもたち同士であるテーマについて真剣に話し合う
という機会がないのではないかと、逆に気になる。
子どもたちは、議論することを面白かったと言っているのである。
ディベートができないのは、日本人の最大の弱点である。

「おどろいたこと」としては、
「自転車発電で多くの時間を要すること」「石油はあと40年でなくなること」が群を抜いて多い。
エネルギー問題は、子どもたちには発電の仕組みよりも、
資源枯渇を切り口にして入っていくと理解しやすいのではないかと思う。
また、自転車発電は、ただ楽しいだけでなく、
これを通じて発電の実感とその大変さを素直に理解する子どもが多く、
体験型の環境学習として非常に訴求力が高いといえる。

原子力発電については、
他人の意見や感情に流されることなく、冷静に肯定的な意見を持つ子どもも少数だがおり、
そのことに多少驚くとともに、その意見表明には感心した。

授業を楽しんでくれた上に、子どもなりのしっかりした意見を聞くと、こちらもやりがいがある。
この仕事をやってよかったなあ、少しは世の中のためになったかなあ、とちょっとうれしくなる。
子どもといえども侮れない。
人間が勝手に使って勝手になくして勝手に困っていると
大人の心に響くことを言う子もいるのである。

僕たちは、子どもたちに未来を託さざるをえないのだから、
未来について子どもたちが考える場を提供するのは、僕たちの責務なのだ。
と、強く思う。
そして、この仕事を誇りに思う。


※この記事については、当初、不適切な資料や引用の掲載があったので、その部分は削除しました。

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