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楽しうて やがてかなしき 祭かな

あ・の・こ・ろ

カードをくるっと回して「トキョ」。
もう何回見ただろう、このシーン。
そのうちお笑い芸人の誰かが多分やるだろうな。

2020年の東京オリンピックが決まった。
まずは、関係者の皆様、おめでとうございます。
ほんとうにお疲れ様でした。
招致活動の真最中に突然愛妻を失いながら、
そんなことはおくびにも出さなかった猪瀬知事。
外遊の折には必ず関係国のIOC委員を訪ね、地道なお願いを繰り返した安部首相。
いわんやそれらを支えた多くの人たち。
次回開催地のリオとソチの準備がはかばかしくなく、
特に経済的なリスクを避けたかったIOCのアドバンテージがあったにせよ、
よくここまで努力されたと思う。

前回の東京オリンピックは、半世紀前の昭和39年(1964年)。
小生は小学生だったが、その時のことはよく覚えている。
当時、広島市舟入幸町に住んでいた小生は、
今は国道2号の裏通りとなっている、当時はメインストリートだった商店街
(広島の人向けに言うと、当時は今の国道2号はなく、
舟入商店街の通りが国道で、赤いアーチの舟入橋がシンボル)
その舟入橋のたもとまで聖火ランナーを見に行った。

東京五輪…あのファンファーレは今も耳に残っている。
鬼の大松監督の「東洋の魔女」の回転レシーブでソ連との決勝戦。
ヘーシンクに負けた柔道。体操の遠藤。ウェイトリフティングの三宅。
裸足の王者アベベのあとに競技場に入ってきた苦しそうな円谷
・・・幸吉は、もうすっかり疲れ切ってしまって走れません(祷)。
体操の華チャフラフスカ。水泳のドン・ショランダーはぶっちぎりだった。

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(出典:貝塚市ホームページ)
打っても打っても回転レシーブで球を拾いまくるニチボー貝塚「東洋の魔女」。ソ連とのマッチポイントが長かった~。


その頃、広島では、ロバのパン屋とか、
「なんまんえー、なんまんえー」と小イワシを売る行商のおばあさんとかが道路をゆっくり歩き、
車といえば青いオート三輪とスクーターで、
自家用車などほとんど走っていなかった。

家の中に目を向けると、冷蔵庫は一番上に切った氷を置くもので
(電気冷蔵庫ではない!だから「氷屋」というものがあった)、
洗濯機はやっと普及を始めていたが、
2つのロールに洗濯物を挟んでハンドルを回して水を絞るやつだった。
風呂は薪でたく五右衛門風呂で、木の蓋を踏んで沈めて風呂に入った。
テレビはオリンピックを見るために、みんな無理して買った。
テレビでは、プロレスをよく見た。
力道山、吉村道明、豊登。みんな素直に興奮した。
試合の合間には電気掃除機でリングを掃除する生コマーシャルは、
今思えば斬新な広告手法だったなあ。

まさに、「三丁目の夕日」の時代だった。
東京ではあの時、首都高ができ、新幹線ができ、霞ヶ関ビルができた。
オリンピックとは、まさにインフラ整備の手段だった。
終戦から19年、オリンピックをきっかけとして、
日本は道路や鉄道をはじめ様々なインフラをものすごい勢いで造っていった。
「こんにちは~ こんにちは~ 世界の~ 国から~♪」
東京オリンピックに続く大阪万博。
日本は高度成長の坂道を駆け上がっていったのだ。

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(出典:交通科学博物館)
「夢の超特急!」東京オリンピック開会式の9日前(何とか間に合った)、東海道新幹線が開業した。しかし、小生の住む広島まで山陽新幹線が延びるまで、さらに11年を要した。大学受験で広島から東京に行くのに、まだ新幹線はなく、夜行列車で行った。


しかし、一極集中、過疎、交通戦争、公害問題・・・
一方では、木炭・薪の燃料が電気・ガス・石油に切り替わる燃料革命がおき、
人々のライフスタイルが大きく変わり、里山が崩壊した。
その是非は別として、日本の社会はドラスティックな変化を遂げたのだ。

東京オリンピック当時、わが国の一次エネルギー供給量は約7,000PJだった。
ここ数年は22,000PJ前後で推移しており、
あのころの3倍以上のエネルギーを消費しているのである。
あの頃の暮らしに戻れば、エネルギー消費は1/3で済むのである・・・戻れないか。

オリンピックがもたらすもの

新・東京オリンピックまであと7年。
いったい、どんなことが起きるのだろう。
先に述べたように、オリンピックとはインフラ整備の最大の手段である。
老朽化するインフラの維持・更新が最大の課題のわが国であるが、
景気回復の御旗のもと、さらなるインフラ整備が進められるだろう。
インフラの充実したわが国でのさらなるインフラとは何だろう?

最大の目玉はリニアモーターカーだと思う。
建設促進期成同盟は一気に声高になるんじゃないかな。
オリンピックには外国から多くの人が訪れる。
オリンピック観戦ついでの日本観光は内外の誰もが考えることだ。
東京・大阪間が1時間で結ばれるとあれば、
狭い日本、東京も大阪も、もはや一緒である。
夕方近くまで国立競技場で観戦し、夜は祇園で舞妓さんもありなのである。

そして、その後はどうなるか。
新幹線といういい先例がある。
東海道新幹線の次は山陽新幹線なのである。山陽新幹線の次は・・・
青森から鹿児島まで、リニアで3時間・・・政治家なら誰もが考えるだろう。
猪瀬知事は4,000億円を既にキャッシュで用意していると言った。
でもそれはオリンピックで使うお金の話である。
インフラ整備の財源はどうするのだ。
国債残高は、既に10年分の税収に相当する553兆円にも上っている。
国家財政は実質的に破綻しているのに。

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(出典:山梨県立リニア見学センターホームページ)
時速500km。次は、リニアモーターカーだ!JR東海は、リニア中央新幹線を2025年に東京・名古屋間で営業運転を開始すると発表している。オリンピックの決定で、2025年が2020年に前倒しされることは想像に難くない。


震災の復興が遅々として進まない。
理由はいろいろあるが、建設という側面から見てみると、
資材不足、人員不足ということが大きい。
それなのに、今からオリンピックの準備とインフラ整備と震災復興を
同時に進めなければならないのである。
これは、大変なことである。

さらに資材と人員が不足するのは目に見えている。
資材の高騰がインフレ要素となり、デフレスパイラルから脱出し、
特需となってくれればありがたいのだが、そうは簡単にいかないだろう。

また、高齢化社会の中での人員不足は、国外にその供給を求めざるを得ないだろう。
一旦、国外労働者の受入を認めると、
次に来るのは安い労働力に駆逐される国内労働者の失業問題である。
国外労働者の就労問題は、
国内の正規雇用問題や社会保障問題と複雑に絡み合いながら展開するだろう。

祭の後のことを考えよう

そして、その後、である。
さらなる問題は、オリンピックが終わった後、である。
祭は華やかであればあるほど、祭の後は無常の風が吹く。

前回の東京オリンピックの時は、未だインフラ整備の途上であり、伸び代があり、
それを支える労働力もあった。
大阪万博、山陽新幹線という、二の矢、三の矢も放つことができた。
維持管理のことは考えずに、ただただひたすら造り続けていけばよかった。

でも、今は違う。
もう既に、以前造ったものを維持管理することさえできなくなっているのである。
オリンピックが開催される7年後の高齢化率は27.8%に達し、
国民の約4人に1人が65歳以上の高齢者となるのである。
(国立社会保障・人口問題研究所推計)
1人の高齢者を労働者3人で支えなければならないのである。

であれば、オリンピックに伴うインフラ整備はどのようにあるべきなのだろうか。
それはまず、できるだけ維持管理を必要としないものとすべきだろう。
そして、人口の多くの部分を占める高齢者の役に立つものとすべきだろう。

安部首相は、IOC総会の最終プレゼンテーション後の記者会見で、
福島の汚染水の問題への対応とともに、
原子力から再生可能エネルギーへの転換を明言した。
テレビを見ていて小生は、正直、とても驚いた。
驚いたが、勇気づけられ、そして、少し心配になった。

喫緊の問題である汚染水の方に目が向きがちであるが
(もとよりそれは非常に大事なことであるが)、
エネルギー転換の話は、それ以上に大変重い話である。
マスコミは、福島の汚染水についての発言の記事ばかりで、
エネルギー転換についての発言をとりあげたものはごく少数だった。
だめだよ、記者たる者、もっと本質を見なきゃ。
何がより重要なことか選別できなきゃ。
あの場で首相が語ったということは、国際公約ということである。
それは、とてもとても重いことなのだ。

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安部さんはこう言ったのだ。「原子力の比率を引き下げます。そして、今後三年程度の間に、再生可能エネルギーの普及と省エネルギーの推進を最大限加速させます」

再生可能エネルギー中心のエネルギー構成は、できないことはない。
というより、もう、やらなければならない。
だから、再生可能エネルギーに係るインフラ整備を、選択の大きなひとつとすべきだろう。
発送分離、高容量蓄電池、燃料電池、スマートメーター、スマートグリッド・・・
そして、付随して様々な新しいビジネスも生まれてくるだろう。

IOC総会での最終プレゼンテーションでは、滝川クリステルさんが花を添えた。
冒頭のロゲ会長の「トキョ」と同じくらい、
「お・も・て・な・し」はテレビを見ていたみんなの印象に残ったのではないだろうか。

「おもてなし」は、数年前から社会のキーワードのひとつである。
長い不況の中、製造業や建設業はなかなか先が見通せない。
今後のトレンドは、環境・介護・観光の3Kである(別の3Kとはえらい違いである)。
この3Kは、ソフト産業である。
そして、そのどれも日本の文化や高齢化というキーワードにしっかりリンクしている。

日本の文化とは、「和」「絆」「礼」といったものであり、
その基盤には「おもいやり」「おもてなし」といった「やまとごころ」がある。
とある老舗旅館の女将が、
「心がゆさぶられるような『おもてなし』をしたい」と言った。
素晴らしい。
これこそが日本が世界に誇るべきものであり、日本の最大の財産である。
私たちは、それを基にしたインフラや産業を興すべきであろう。
たとえば、観光-人々の交流-おもてなし と考え、
そこに日本の文化のオプションを加えれば、
様々な具体的な展開が見い出せるのではないだろうか。

高齢化社会の中で、
いや、高齢化社会だからこそ生み出していける、
日本だからこそ生み出していける新たな価値観とそれに基づく新たな経済活動。
それは、世界のどの国もまだ生み出していないモデル、未来のスタンダードなのだ。

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