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ホタルは一人じゃ生きられない

「ホタルについて授業をしてください」

先月はホタルのお話をしたが、
まだシーズン中なので、引き続きホタルのお話をしたい。
先月は文学的なお話だったが、今月は環境学習のお話である。

自然系の環境学習では、ホタルはもってこいの題材である。
なにせ、みんな知ってるし、都会では実物は結構希少価値で、
光るがゆえに訴求力が高い。
「○○川にホタルを呼び戻そう」とか、「ホタルのすめる川づくり」とか、
「○○町ホタル祭り」とか、
最近は河川の水質浄化はもとより、
まちづくり・地域おこしのテーマとしてそのシンボル性はますます高くなっている。

たいていは、学校から「ホタルについて授業をしてください」と漠然と言われる。
「ホタルの何についてお話しましょうか?」と聞くと、
「お任せします」となる。
ホタル、ホタルと言うが、じゃあ何をと考えると、
何もイメージできていないことに気づく。

ホタルの観察?・・・何を観察するの?
水質浄化?・・・ホタルとの関連性は?
何でもそうだが、環境学習をするとき、
「ねらい」や「めあて」をしっかり持つことが非常に重要である。
ホタルを通じて子供たちに何を気づかせ、
自然のどんな仕組みについて理解させるのか、
また、それにより得た知識で環境問題をどう自分の問題としてとらえていくのか。
小生は、ホタルについての環境学習の依頼が来たときは、
生態系という切り口でお話しすることにしている。

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(社)日本環境教育フォーラムによる「日本型環境教育の提案」では、国際環境教育会議でのベオグラード憲章との関連性を整理し、環境教育の段階的目標として「親しむ・気づく」「知る」「実践する・守る」の3つを設定している。

ホタルとカワニナの数から

こんにちは。今日はみんなといっしょにホタルについて勉強しよう。
ほら見てごらん。これがホタルの幼虫だよ。本物だよ。
生きてるよ。よく見てごらん、動いてるよ。
みんなは、このホタルの幼虫は、何を食べるか知ってるかな?
・・・そう、カワニナだね。みんなよく知ってるね。
じゃあ、クイズだ。みんな、できるかな?

第1問:ホタルと餌のカワニナとでは、どっちの数が多い?

そんなのあたりまえじゃん。カワニナの方が多いに決まっている。
という読者の方、なぜそうなのか子供に分かりやすく説明できますか?

第2問:もしもホタルとカワニナが同じ数いたら、どうなるだろう?

実は、1匹のホタルは成虫になるまでに20匹のカワニナを食べます。
もし、20匹のホタルと20匹のカワニナがいるとしたら、ホタル1匹分の食べ物しかありません。
少なくともホタルは確実に全滅してしまいます。
一方で、カワニナは、数匹が生き残る可能性があります。
自然の中では、ホタルに見つからず、
たまたま捕食されなかったものが生き残る可能性が少なからずあるからです。

やがて残ったカワニナが増え、それに応じてホタルも戻り、
それぞれの量は自ずから一定のバランスが保たれるようになります。

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という話を口でしゃべるだけでは、大人と違って子供は理解できません。これらのことを図で表現し、視覚的に理解させることが重要だと思うのです。

生態系のピラミッド

第3問:では、ホタルに食べられるカワニナは何を食べているのかな?
カワニナを食べるホタルは誰かに食べられているのかな?


カワニナはコケを食べる。
ホタルは(例えば)カエルに食べられる。
そのカエルはヘビに食べられる。
そのヘビは・・・知らず知らずのうちに食物連鎖の話に踏み込んでいきます。

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図の矢印をとったシートを配り、各自で矢印を入れてもらう作業を子供たちにやってもらいます。

ここに至って、「生態系のピラミッド」を示すことにより、これまでの話を整理し、
食う・食われるの量的な関係や、仕組みの中にある法則を視覚的に理解していきます。

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「上の生き物ほど強いが、弱い」・・・環境圧が高まれば上位種から姿を消していく。ということも視覚的に教えます。

必要なものはカワニナだけか

第4問:では、ホタルが生きていくために必要なものは?

子供たちはいっせいに「カワニナ!」と答える。
「青虫がモンシロチョウになる前、何になるか知っている人?」
数人の子が手を上げ、「サナギです」と答える。
ホタルも虫だから、サナギになるんだよ。
ホタルは川岸の土の中にもぐってサナギになるんだ。
じゃあ、もし川岸に土がなかったらどうなるんだろう・・・

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幼虫のときに必要なもの、サナギのときに必要なもの、成虫のときに必要なもの、卵のときに必要なもの。そのどれかひとつが欠けてもホタルは生きていけない。カワニナだけじゃないんだ。

ライフサイクルの中で必要な環境がどれかひとつでも欠けたら、そこでチェーンは切れる。
The end!

子供たちに感じてほしいこと

ホタルという身近な生き物から、
食物連鎖という生物間のつながりがあること、
その仕組みやそれを支配する法則があることを発見する。
たったひとつの生き物でも、生きていくためには様々な環境が必要なことに気づく。

ひとつの生き物には、その生き物固有のドラマがある。
自然の中には数え切れないほどたくさんの種類の生き物がいる。
たくさんの種類の生き物は、それぞれのドラマの中で、それぞれと関係しあって生きている。
生き物は環境をつくり、環境は生き物をつくる。・・・みんなつながっているのだ。

ということを、おぼろげながらでも子供たちに感じてほしいのだ。
そして、
われわれ人間とて、その中の一員でしかないのだ。
じゃあ、僕たちは、生き物の世界を構成する一員として、どうして行けばいいのだろう。
ということをおぼろげながらでも子供たちに感じてほしいのだ。
それが僕の目指す「ねらい」であり、「めあて」であるのだ。

ホタルは一人じゃ生きられない。人間も一人じゃ生きられない。

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ホタルを養殖している知り合いから幼虫を貸してもらい、教室に持ち込みます。実物を実際に見るということは、子供の環境学習では特に大切です。運搬による環境変化の刺激で、数匹の幼虫は脱皮して白っぽくなっています。ということも自分の目で確認できます。

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