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沖縄、再び

沖縄へ

昨年12月、沖縄に行った。
お断りしておくが、もちろん仕事で、である。1年ぶりの沖縄である。

沖縄に行く前々日は寒波の襲来で広島でも雪が舞った。
広島空港では、サーファーの兄ちゃんもダウンを着て飛行機に乗り込んできた。
半袖を持ってきたのはちょっとやりすぎたかな、と少し後悔した。
で、那覇に着いたらいきなり夏日だ。最高気温26℃。
半袖着てても汗が出る。なんてこった。

前回のえこらむでは、
「まちに必要なもの」と題して、まちの成り立ちについてお話をした。
今回はその続編で、沖縄(那覇)のまちの「面白いもの探し」をしてみた。
今回は趣向を変えて、写真を多く盛り込み、
眺めて楽しんでもらう紀行文としたので、軽く眺めていただきたい。

繁華街の裏はジャングル墓地

那覇の国際通りは沖縄一の繁華街である。
土産物屋、沖縄料理店、ホテルなどなどがひしめき、
観光客、修学旅行生、呼び込みのお兄さん・お姉さん、そしてアメリカ人が入り乱れ、
昼夜を問わず大変な賑わいである。

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国際通り。朝早い時間に撮ったので、まだ人通りは少ない

が、この国際通りの路地を一本入っただけで、そこには別世界が広がる。
店舗やホテルの裏側の通用口は人が一人通れるだけの路地でつながっており、
そこには表通りからはとても想像できない、
信じられないような風景が広がっているのである。
ジャングルが広がっているのである。
ほんとうである。
そしてそのジャングルの中には、必ずと言っていいほどお墓がある。
お墓は比較的新しいものもあるが、朽ち果てて、参る人もないようなものもある。

沖縄のお墓は、本土のものとはかなり様相を異にしている。
まず、かたちが独特である。そして、でかい。
これを「亀甲墓」という。

亀甲墓の本体は、斜面に横穴を掘り、入口に供養台などをしつらえたものだが、
何といっても特徴的なのは緩やかなカーブを描いた墓の広い上面である。
その形はまさに「亀甲」といわれる由縁である。
この本体を奥に置き、その前は広い前庭となっており、それを石積みの袖垣で囲んでいる。

この亀甲墓が裏通りの路地のジャングルの中に突如出現するのである。
それも一つや二つではない。これはもう、墓苑なのだ。
信じられないことに、沖縄一の繁華街の裏はジャングル墓地なのだ。

沖縄戦では多くの人々の命と亀甲墓が失われた。
そして、墓を守る人のいなくなった亀甲墓は、
まちの発展とともに、区画整理などにより失われてしまった。
そして今も、それは続いている。
華やかな国際通りのすぐ裏では、沖縄の人の魂が今日も失われていく。

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国際通り裏の立派な亀甲墓

沖縄のまちの中での歴史的な遺物として「御嶽」(うたき)がある。
御嶽は、琉球の神様が存在・降臨する場所であり、祭祀を行なう場所である。
本土でいえば、神社といったところであろうか。
御嶽の大掛かりなものは観光地としても有名な斎場御嶽などがあるが、
概してまちのなかにひっそりと佇んでいる。

那覇のまちにも多くの御嶽があり、注意していると見つけることができる。
那覇のど真ん中にある「オキナワノ嶽」は、そんな御嶽のひとつである。
この御嶽の神様は、「ヨリアゲ森カネノ御イベ」というのだそうだ。
この御嶽は、実は大変重要な御嶽である。
この御嶽の名が「沖縄」という県名の由来となったからである。
僕は、まちやむらにひっそりと佇む小さな祠が好きだ。

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国際通りにも程近い「オキナワノ嶽」
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こんなガジュマルの巨木が那覇の市街地のど真ん中に

ディープな沖縄

僕が沖縄に引き付けられることのひとつは、
ディープなまちがいまだあちこちに残っていることだ。

栄町市場はその最たるものである。
モノレールの駅前のほんの100m四方の街区に間口2間ほどの店がぎっしりと詰まっている。
「栄町市場は、戦後の復興時に誕生し、現在もなお、当時とほとんど変わらぬ姿で現存する、日本にただ一つ残された歴史の証人とも言える市場です。」
とは栄町市場商店街公式サイトの言葉であるが、まさにそのとおりである。

僕は地方都市に行くと「○○市場」と名付けられた土着の市場をさまよい、
見たこともないその土地の産物や食べ物を見るのをこの上ない喜びとしているが、
こんなディープな市場は見たことがない。

栄町市場には、お店のおばさんたちで構成される
「おばぁラッパーズ」という歌って踊るおばぁ軍団がおり、
夜ともなれば大変なことになる。

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これが栄町市場の入口(の一つ)だ
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市場の中はこうなっている。狭い路地の中にひしめき合う店舗。まだ朝早いので支度中なのが残念
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こんなもん、沖縄の市場以外にはありえない!
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こんな看板、沖縄以外にはありえない!

まちに舞台を

まちの賑わいには、いくつかの仕掛けが必要である。
様々なお店や回遊性は基本的な条件であるが、
イベント、というか歌、踊り、器楽、芝居などなど、
要は身近な大道芸とそれを催す場が必要である。
臨場感のあるものを、いつもどこかで何かやっていることが重要である。
沖縄に滞在したのは3日間であったが、
その間、いくつかのイベント、いや大道芸に出くわした。

街中の広場で何かやっている。
よく見ると「ネーネーズ」ではないか。全国的にも名の知れたグループである。
ラッキー!その横で、おじいさんが一人踊り出した。
実に、沖縄である。

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ネーネーズのライブに出くわした
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その横で踊るおじいさん

夜の国際通り裏をうろうろしていたら、「にぎわい広場」で何かやっている。
音響と明かりに引かれて行ってみると、即席の野外劇場で劇をやっている。
ミュージカル仕立ての社会風刺の創作劇を3人でやっている。
観客はざっと20人か。投げ銭が飛ぶ。
こんなの始めて見た。

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家族3人、全国を投げ銭で旅する劇団「野外劇団 楽市楽座」

沖縄の夜の〆はやはりライブだ。
今回は喜納昌吉のライブハウス「チャクラ」に行った。
最後のステージ、客は小生たった一人。サシで勝負だ・・・那覇の夜は更けていく。

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呼び込みをやっていたオジサンも引き上げてきて、一人で踊り出した

新しいまち

那覇では区画整理がどんどん進み、新しいまちがどんどんできている。
古いものがどんどん捨てられ、新しいものがどんどんできている。
新都心「おもろまち」はすべてがそろう最新のきれいなまちだ。

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「おもろまち」は、今もどんどん建設が進む新しいまちだ

でも僕は、路地裏の亀甲墓が気になる。
栄町市場に引かれる。
歌や踊りや大道芸にあふれるまちが好きだ。

人々が歴史を重ねたもの、
人々が生活の中から作り出していったもの、
人々がその心を訴え表現しようとするものが好きだ。

それこそがまちだと思うからだ。
沖縄に幸あれ。

| コラム | 10:57 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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