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僕は沖縄が好きだ

沖縄のエネルギー事情

年度末に沖縄に2回行った。
と言ったら、「いいですねえ。この忙しい時にリゾートですか。」などと言われる。
遊びに行ったのではない。
仕事で行ったのだ。
しかし、この仕事は楽しみであるなら、楽しみに行ったのかもしれない。
内閣府の沖縄総合事務局から省エネ設備導入等促進委託事業「親子省エネ体験プログラム」という仕事を受託したので、その「仕事」をしに行ったのである。

沖縄のエネルギー事情はかなり特殊である。
まず、沖縄電力の発電はすべて火力発電である。
沖縄には高い山や大きな川はなく、水力発電はできない。
そして、沖縄電力は、全国10社の電力会社のうち、唯一原子力発電所を持たないのである。
従って、単位電力当りのCO2の排出量を示すCO2排出係数は
10社の中で0.935kg-CO2/kWhと突出している。
ちなみに、最も低い関西電力は0.311 kg-CO2/kWhと沖縄電力の1/3である。
(平成24年1月17日公表値)

20120402-01総務省統計局ホームページ 統計データ
(総務省統計局 ホームページ 統計データ 日本の統計 第10章 エネルギー・水より)

このグラフの緑の部分(原子力)が今、ほとんど止まっている。
東京電力、関西電力、九州電力での原発の依存度が高いことがわかる。

一方、エネルギーを使う方から言えば、まず、沖縄には鉄道がない。
軌道系の公共交通機関は、那覇市内に「ゆいレール」というモノレールがあるだけである。
そして、140万人の人口の沖縄に、毎年その3倍以上の550万人の観光客が訪れる。
そしてこの観光客の多くがレンタカーで移動するのである。

京都議定書の基準年である1990年度から第一約束期間が始まる2008年度の間に、
全国のCO2排出量は5%増加した。
一方、沖縄は・・・何と、52%!も増えたのである。
これはものすごいことである。
さらに、問題はその内訳である。
下のグラフを見てほしい。
全国で排出割合が最も大きいのは「産業」(グラフの青色の部分)である。
が、沖縄は「産業」の割合は最も少ない。
そして、それ以外の3つ、すなわち運輸、民生家庭、民生業務の増加が
全国と比べて顕著である。

20120402-02Co2排出量の推移

火力発電のみのためCO2排出係数が非常に高いこと、
その結果として1人当りのCO2排出量が高いこと。
2次産業が少ないこと、その結果として民生部門の比率が高いこと。
自動車社会であることなどが沖縄のエネルギー消費の特殊性なのである。

このようなことから、まず家庭に目を向け、親と子供が一緒になって省エネについて体験し、
考える場を作ることにより省エネ活動の取り組みのきっかけにしてもらうため、
「親子省エネ体験プログラム」を実施することになったのである。
Act locally!


エコ博士にヘンシン!

「親子省エネ体験プログラム」は3本立てである。
すなわち、レンタル電気自動車での1日ドライブ、
エネルギー関連施設を見学する1日バスツアー、
そして「沖縄一楽しい省エネ教室」である。
3つのうち、最後の「沖縄一楽しい省エネ教室」が本業務のハイライトである。
沖縄県立博物館で土曜と日曜の午前と午後、計4回公演である。

環境学習をするとき、一方通行の講義ほどつまらないものはない。
しかも、今回は小学校低・中学年が中心の親子が対象で、
「沖縄一楽しい」とのキャッチフレーズまでついている。
さあどうするか。
また、「燃焼の仕組み」を学校で習うのは6年生という現状の中で、
子供たちに火力発電中心の沖縄のエネルギーの現状と
省エネの取り組みの必要性をどうやって理解してもらうか。
さあどうするか。
で、劇をすることにしたのである。
題して「エネルの冒険」。
劇を進めながらエネルギーに関するクイズを出し、
答えをパワーポイントで解説しながら理解を進めてもらうという趣向である。

少年エネルがヤンバルの森で怪人エネルギンに遭遇する。
エネルギンは沖縄中のエネルギーを食べつくそうとしている。
エネルギンはエネルに様々なクイズを出して挑んでくる。
エネルは会場の子供たちと相談しながら答えを出す。
クイズとその答えについてエコ博士が解説する。
最後にエネルギンは改心して普通の少年に戻り、
省エネに取り組むことを誓うというストーリーである。
そう、エネルギンは、何も考えず湯水のようにエネルギーを使っている私たちの象徴である。
エネルギンは、私たちそれぞれの家庭に巣くうものなのである。
「みんなのうちにエネルギンはいないか!」

20120402-03エコ博士
エコ博士にヘンシーン!奥はエネルとエネルギン

スタッフの熱意と周到な準備のおかげで、省エネ教室は「沖縄一楽しい」ものになった。
参加者へのアンケートによれば、参加した親子はみな楽しかった、
有意義だったと答えてくれた。
発注者の沖縄総合事務局の方々にも満足していただいたようである。
環境学習の業務は、やる方も楽しく有意義で、かつ発注者に喜ばれ、参加者にも喜ばれ、
また社会に直接貢献していることを実感する。
すなわち、まさに、売り手よし・買い手よし・世間よしの「三方よし」である。
ボランティアではなく、ビジネスとしてこのような業務が
さらに広がっていくことを切に期待している。
ビジネスとすることにより、対価と責任が発生する。
そのことにおいて受託する側の技術が磨かれる。
われわれはプロなのである。


僕は沖縄が好きだ

僕は沖縄が好きだ。
僕は沖縄が大好きだ。
まず、沖縄の街がいい。
ちょっと裏通りに入るとそこにはディープな街がある。
那覇の国際通り周辺はいうにおよばず、栄町、松山・・・
さまようのが楽しい街が多い。
街角で年代ものの「ヤギ料理」などという看板がかかっているのを見つけると、
もうそれだけでわくわくする。
しかし、まあ、沖縄は飲み屋が多い。
こんなに多くて需給のバランスはとれているのかなと心配になってくる。
繁華街だけでなく、住宅街の中にも渋い飲み屋が結構あるのが、またいい。
沖縄の街をカバンを提げて歩いていると、タクシーがクラクションを軽く鳴らして徐行する。
反対側の車線を走っていても、わざわざUターンして寄ってくる。
最初は何のことかわからなかった。
乗れといっているのだ。
僕は手を横に振る。
僕は歩きたいのだ。

沖縄の夜がいい。
飲む相手がいなくても、沖縄では素敵な夜がすごせる。
いやいや、勘違いしないでください。
そっちのほうじゃないよ。
沖縄の夜はライブである。
民謡酒場からライブハウスまでたくさんの店があり、飽きない。
驚くのは、民謡酒場に結構地元の若者が来ていて、えらく盛り上がるのだ。
「アーイーヤー」「ハッ、ハッ」などという掛け声は知っていたが、指笛がすごいのである。
指笛で合いの手を入れる客がいると、とたんに火がつく。
本土でも有名なアーティストのステージも見たが、
沖縄民謡や島唄を三線、太鼓、サンバ(沖縄のカスタネット)で
やるものの方が訴えるものが大きい。
THE BOOMの「島唄」はとても好きでいい曲であるが、沖縄民謡に浸かっていると、
かなりポピュラナイズされていて、ちょっと違うという気持ちになってくるのが不思議である。
しかし、三線でベンチャーズをやるグループがいたのには驚いた。
ま、小生も学生時代、マンドリンでディープ・パープルをやっていたが。

20120402-04地酒横丁
観光客向けだけど、なかなかいい店「地酒横丁」(民謡酒場 地酒横丁 ホームページより)

沖縄の食べ物がいい。
沖縄に何度か行くうちに、沖縄ではチャンプルーは豚肉ではなく
ランチョンミートを使うことがわかった。
で、こちらに帰ってさっそくランチョンミートでチャンプルーを作ると、
沖縄で食べたのと同じ味になって、悦に入っていた。
先日、沖縄が長寿県ではなくなったとの報道があった。
それは、アメリカナイズされた食べ物が増え、
脂肪と塩分を取りすぎるようになったからだということであった。
よくよく調べてみると、本来のチャンプルーはゆでて脂分を抜いた豚肉を使うとのことで、
ランチョンミートを使うようになったのは米軍が駐留するようになってからということであった。
買い込んだ沖縄そばを家で作って食べていて、ふと合点がいった。
沖縄の味付けはカツオなのである。
出汁をきかせることにより、塩分を控えることができるのだ。
そして、塩分を控えるがゆえに、逆に塩の重要性が効いてくる。
沖縄の塩「島マース」だ。
そういえば、ゆしどーふ(おぼろ豆腐)の店で、味付けの指定の際、
お勧めは「マース」といわれたことを思い出した。
塩だけの味付けである。


沖縄に幸あれ

省エネ教室が終わって、沖縄総合事務局の方々と話をした。
沖縄のエネルギーの話から始まっていろいろ話をしたが、
結局、地域振興と雇用の話に行き着いた。
沖縄はこれに尽きると。
戦争と占領と基地の歴史。
大きな産業がなく公共事業と観光に頼らざるを得ない経済。
そのことによる雇用機会の喪失。
沖縄に生まれた若者は何を考え、何を目指すのだろうか。

街にあふれる飲み屋とそこで働く若者たち。
人待ち顔でやたらと多いタクシー。
基地と交付金の中で揺れながら、ヤマトンチューを受け入れる沖縄の街。

ロックやJ-POPを吸収してクロスオーバーしていく沖縄民謡。
しかし、ポピュラーを吸収しながらも、なお本来の土着の魅力を放つ沖縄の民謡。

アメリカ文化の中で形を変え、ポークたまごやタコライスを新たに生み出していく沖縄の食。
しかし、変貌しながらも食と生の基本である塩を忘れない沖縄の料理。

「ニライカナイ」とは沖縄で昔から伝えられる海の彼方の理想郷である。
ニライカナイから生者の魂がやってきて、ニライカナイへ死者の魂が帰る。
ニライカナイは生命や豊穣をもたらすが、同時に悪しきものや災いをもたらす。
沖縄にはかつて、そして今も、ニライカナイから様々なものがやってくる。
戦争、基地、観光客、音楽、食べ物、いろいろなものが沖縄という場所で混ざり合う。
「チャンプルー」とは、「ちゃんぽん」と同義で、「混ぜこぜ」という意味である。
これぞ、沖縄である。

青い沖縄の海を前にして遠くを眺めていると、
この海のずっとむこうに本当にニライカナイというものがあるような気がしてくる。
ニライカナイから沖縄の人たちに幸せがやってきますように。
と、一人祈った。

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